「運良く見つかったノーマルの個体ですから、体力的に乗れなくなるまで大事にしたい」|1991年式 トヨタ スープラ ターボR  Vol.3

「ツインターボRは運転することが本当に楽しいんです」と語るオーナー。急発進など無理な運転をしないことが維持の秘訣とのこと。

       
【1991年式 トヨタ スープラ ターボR  Vol.3】

【2】から続く

 このハイパワーエンジンの導入に合わせて設定されたのが、シリーズ最強と言われるツインターボRだ。このモデルの特徴は、ビルシュタイン製ショックアブソーバーやトルセンLSDを標準搭載すること。それに伴い、ダンパー減衰力を自動でコントロールするTEMSを非搭載としたほか、パワーシートやオートドライブなどの豪華装備を一部廃止。この結果、車両重量で30kgものダイエットを達成した。「スープラで30kgの軽量化は大きいですよ。軽さが実感できます」と工藤さんが語るように、ツインターボRはまさに別モノ。高出力エンジンにサスとLSDで追従性・操縦性を強化したことで、スープラが秘めていたポテンシャルを解放し、グランドツアラーからリアルスポーツへと変貌を遂げたのだった。

 モデル末期に差しかかり、Z32フェアレディZをはじめとする強力なライバルの出現で劣勢に立たされていたスープラだったが、このツインターボRの登場で人気が再燃。大きなヒットを生むことになる。この事実は冒頭のオーナーのコメントのように、生産終了から20年経った今、現存車両の多くがツインターボRであることが雄弁に語っている。「運良く見つかったノーマルの個体ですから、体力的に乗れなくなるまで大事にしたい」と、最後にオーナーは話してくれた。

OWNER’S VOICE/ノーマルが少ない70だから維持していきます

「70スープラ、しかもツインターボRでノーマルの個体が見つかるなんて滅多にありません。ただ、当時はすぐに欲しかったので購入しましたが、もっとじっくり探したほうがよかったかもしれませんね」と語るオーナー。だが、購入から4年、着実に愛情を注いでいる。手に入らない純正パーツも増えているそうだが、昨年、マフラーや前ウインカー左右などを新品交換した。「少しずつですがノーマルを維持しながら仕上げていきたいです」。



MOMO製のステアリングやRECARO製のシートなど、ツインターボR専用装備も多い【写真18枚】




この1988年の改良でコクピット回りをブラックアウト化し、内装色をディープレッドとシャドーグレーに変更。ツインターボRは後者のみの設定となる。






ステアリング同様、ツインターボRの5速MT車はシフトノブもMOMO製となる





ツインターボR専用装備のレカロシート。運転席は傷んでいたため、色は違うが柄が似ているZ31純正シートを付けているそうだ。


1991年式 トヨタ スープラ ターボR(JZA70)
SPECIFICATIONS 諸元
全長×全幅×全高(mm) 4620×1745×1300
ホイールベース(mm)  2595
トレッド前/後(mm) 1470/1475
車両重量(kg)  1520
エンジン型式  1JZ-GTE型
エンジン種類 直列6気筒DOHCツインターボ
総排気量(cc) 2491
ボア×ストローク(mm) 86.0×71.5
圧縮比 8.5:1
最高出力(ps/rpm) 280/6200
最大トルク(kg-m/rpm) 37.0/4800
変速比 1速 3.251/2速 1.955/3速 1.310/4速 1.000/5速 0.753/後退 3.180
最終減速比 4.100
ステアリング ラック&ピニオン
サスペンション ダブルウイッシュボーン(前後とも)
ブレーキ ベンチレーテッドディスク(前後とも)
タイヤ 225/50R16(前後とも)
発売当時価格 336.7万円



初出:ハチマルヒーロー 2014年 05月号 vol.25(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1982年式 日産スープラ (全3記事)

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text : Rino Creative/リノクリエイティブ photo : AKIO HIRANO/平野 陽

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