壊さずに長く乗り続けるため、各部対策も万全に|1972年式 日産 スカイライン 2000GT  Vol.3

OS技研の刻印の入るヘッド。

       
【1972年式 日産 スカイライン 2000GT  Vol.3】

【2】から続く

 直談判に通い、とうとう譲ってもらった元祖TC24‐B1をハコスカに搭載。強烈なインパクトと個性は全く色あせていなかった。

そんな調子なので、しばらくは不満もなく、フルオリジナルの状態で乗っていたが、2年が経過した頃に走行距離が延びたこともあり、オーバーホールを決意。細部にいたるリフレッシュはトミタクさんが手がけ、元祖TC24‐B1のウイークポイントだったカムやロッカーアームの再構築も実施した。

 腰下もOS技研の鍛造ピストンを組み込んでボア径をφ89mmに広げ、2.8Lから3Lへと排気量アップ。高出力化に備えて、海外製H断面コンロッドの導入や、L28型クランクへのタフト加工などを実施している。

 ハイパワーなエンジンを生かすべく、駆動系の見直しにも着手。OS技研のスーパーロックLSDを組み込み、デフのヒート対策としてアルミ冷却フィンを装着した大容量デフカバーをワンオフで製作した。ミッションにはOS技研がかつて展開していた71B用5速フルクロスが組み込まれている。

 また、壊さずに長く乗り続けるための各部トラブル対策も万全だ。オイルパンは加速時にオイルが片寄るのを防ぐため、ストレーナーの吸い口を後方にオフセット。オイル容量の大幅な増大も図られる。さらに、ヘッドに上がったオイルをダイレクトにオイルパンへ戻す目的で、ヘッドの後方に通路を新設。オイルクーラーも追加する。

 油温管理だけでなく、アルミ3層ラジエーター+大型電動ファンを導入するなど、水温のヒート対策も抜かりない。TC24‐B1の搭載により、タコ足からの熱がインテーク側に影響しにくいクロスフローへと変更されたことも大きなメリット。オールラウンドで安定して使いこなせるようになった。


シンプルかつ機能的にまとめられたインテリア。TC24-B1搭載をアピールするため、リアトレーにディスプレーされた予備のヘッドカバーなど【写真28枚】




デフィのタコメーターを中心に、視認性を重視しながら、油温、油圧、水温といった追加メーターを、純正のメーターナセル内に違和感なくインストールしている。ステアリングコラムの上にある青いカバーは、スタック製の燃圧計。普段は見ないためフタをしてあるそうだ。





運転席のシートは、ブリッド製のヒストリックスをチョイス。程よいホールド性を備え、なおかつスパルタン&クラシカルなデザインが決め手となった。助手席と後席は純正。





シンプルかつ機能的にまとめられたインテリア。派手さはないが、走りをストイックに楽しむにはふさわしい装いだ。ミッションはOS技研の5速クロスを組み込んでいる。



【4】に続く

1972年式 日産 スカイライン 2000GT(GC10)
SPECIFICATIONS 諸元
■エクステリア:白(ボディカラー)、テールレンズ黄色加工、ギャラクシー製HID
■エンジン:L28型改3L仕様、OS技研TC24-B1(81年式/シリアルナンバー11番)、ボアφ89mm×ストローク79mm(圧縮比11.5)、OS技研製カム(320度、10.5mmリフト)、バルブサイズ(INφ35.5mm、EXφ30.8mm:TC24-B1専用設計)、ホンダN360用バルブスプリング、コッター、リテーナー(当時のOS技研純正)、OS技研製鍛造φ89mmピストン(トミタクSPL)、SAENZ製H断面コンロッド、L28型用クランク(タフト加工)、ウエーバー55DCO1/SP、長瀬発動機製φ48mm等長タコ足(6-1)、φ80mm→φ90mmシングルマフラー
■点火系:永井電子機器製MDI、ワンオフプラグコード
■燃料系:ボッシュ製燃料ポンプ(ポルシェターボ用)
■冷却系:アルミ3層ラジエーター、アールズ製オイルクーラー
■駆動系:OS技研製トリプルクラッチ、5速フルクロスミッション、スーパーロックLSD(ファイナル4.3)、大容量アルフィンカバー
■サスペンション:ビルシュタイン製車高調改(F)8kg/mm (R)23kg/mm
■ブレーキ:(F)純正オプションMK63/スターロード製マスターバック&シリンダー
■インテリア:Defiφ115mmタコメーター、φ60mm油圧、油温、水温計、スタック製燃圧計(電気式)、ブリッド製ヒストリックス/ダッツンコンペステアリング
■タイヤ:アドバン ネオバAD08 195/50R15
■ホイール:RSワタナベ(マグネシウム)(F)15×8J ±0 (R)15×8.5J -6


初出:ノスタルジックスピード 2016年 3月号 vol.009 (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1972年式 日産 スカイライン 2000GT (全4記事)

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text:HIROSHI SHOUMATSUMOTO/正松本 宏 photo:RYOTA-RAW SHIMIZU/清水良太郎

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