「血圧もアドレナリンも上がりっぱなしで、とても平常心では乗れないほどパワフル」|1972年式 日産 スカイライン 2000GT  Vol.2

幻のL型用DOHCヘッド、元祖TC24-B1搭載の2台が吠える! ! 

       
【1972年式 日産 スカイライン 2000GT  Vol.2】

【1】から続く

 この元祖TC24‐B1を搭載したS130Zは売却し、チューニングカーとは無縁の平穏な日々を送っていたオーナー。

 それから25年ほどが経過したある日、L型6気筒4バルブの元祖TC24‐B1を復活させた「トミタク」さんと知り合う。そのエンジンを搭載した彼のS30Zに試乗させたもらった瞬間に、荒々しく痛快な加速に酔いしれていた当時の記憶が走馬灯のようによみがえったのだ。

 この出合いを機に、オーナーにとって2度目の青春がスタートする。元OS技研で長瀬発動機代表である長瀬肇さんが、元祖TC24‐B1を大切に保管していることを聞きつけ、何度も直談判に通い、とうとう譲ってもらえることになった。ハコスカに搭載して改めて元祖TC24‐B1と対峙した印象は、「血圧もアドレナリンも上がりっぱなしで、とても平常心では乗れないほどパワフル」と、強烈なインパクトと個性は全く色あせていなかった。


オーナーにとって人生で2基目となる元祖TC24-B1。夏でも安定した水温を保つため装着された大容量のアルミ3層ラジエーターと大型電動ファンなど【写真28枚】



キャブレターには、ウエーバーの最大サイズとなる55DCO1S/Pをセットアップ。専用設計の45mmファンネルを組み合わせ、キャブのリンケージはピロボール化されていて、正確なセッティングを可能にしている。また、燃料配管はキャブの下側に配置。バキュームパイプも片岡さんのお手製だ。





初期型TC24-B1のタコ足も残されていたが、6-3-2形状から、限りなく等長の6-1形状へレイアウトを変更し、パイプ径もφ40mmからφ48mmへとサイズアップ。高回転域での伸びを求めた設計だ。タコ足の上にあるパイプは、専用の外付けウオーターギャラリーだ。





GC10ハコスカに搭載されるTC24。

【3】【4】に続く


1972年式 日産 スカイライン 2000GT(GC10)
SPECIFICATIONS 諸元
■エクステリア:白(ボディカラー)、テールレンズ黄色加工、ギャラクシー製HID
■エンジン:L28型改3L仕様、OS技研TC24-B1(81年式/シリアルナンバー11番)、ボアφ89mm×ストローク79mm(圧縮比11.5)、OS技研製カム(320度、10.5mmリフト)、バルブサイズ(INφ35.5mm、EXφ30.8mm:TC24-B1専用設計)、ホンダN360用バルブスプリング、コッター、リテーナー(当時のOS技研純正)、OS技研製鍛造φ89mmピストン(トミタクSPL)、SAENZ製H断面コンロッド、L28型用クランク(タフト加工)、ウエーバー55DCO1/SP、長瀬発動機製φ48mm等長タコ足(6-1)、φ80mm→φ90mmシングルマフラー
■点火系:永井電子機器製MDI、ワンオフプラグコード
■燃料系:ボッシュ製燃料ポンプ(ポルシェターボ用)
■冷却系:アルミ3層ラジエーター、アールズ製オイルクーラー
■駆動系:OS技研製トリプルクラッチ、5速フルクロスミッション、スーパーロックLSD(ファイナル4.3)、大容量アルフィンカバー
■サスペンション:ビルシュタイン製車高調改(F)8kg/mm (R)23kg/mm
■ブレーキ:(F)純正オプションMK63/スターロード製マスターバック&シリンダー
■インテリア:Defiφ115mmタコメーター、φ60mm油圧、油温、水温計、スタック製燃圧計(電気式)、ブリッド製ヒストリックス/ダッツンコンペステアリング
■タイヤ:アドバン ネオバAD08 195/50R15
■ホイール:RSワタナベ(マグネシウム)(F)15×8J ±0 (R)15×8.5J -6


初出:ノスタルジックスピード 2016年 3月号 vol.009 (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1972年式 日産 スカイライン 2000GT (全4記事)

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text:HIROSHI SHOUMATSUMOTO/正松本 宏 photo:RYOTA-RAW SHIMIZU/清水良太郎

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