パーツ集めでは、仲間同士のIDを周知し競り合いを防止|1984年式 トヨタ スターレット XL  Vol.3

スターレットならではのハッチバックのシルエットの美しさを追求して製作が進められてきたKP61。ボディカラーをはじめ、派手さをできるかぎりおさえたシンプルメイクが信条だ。

       
【1984年式 トヨタ スターレット XL  Vol.3】

ハードグリップで攻めるサーキット仕様もよし、ストリートをメインにオールラウンドスポーツで楽しめるKP61も魅力的


【2】から続く

 なお、オーナーとなった時点では目立つサビなどはほとんどなかったが、腐食が進行している車体が多い車種でもあるので、事前対策として徹底した防錆処理を実施。下回りとエンジンルームは雨水の浸入を食い止めるため、各鋼板の全ての継ぎ目にシーリング処理を施し、さらにその上から防錆アンダーコートを施工する。

 フレームやボディをサビから守る環境を整えたら、次にスポーツユースにも耐えられるボディ剛性を手に入れるため、サイドシルへのアングル溶接補強も施工。これはL型の鋼材を追加して強度アップを図るもので、ボディのヨレやネジレの抑制が期待できる。

 フットワークはビルズのAE86用サスペンションキットを用いてセットアップ。KP61前期用ロワアームを流用してフロントキャンバーを修正。フロント6kg/mm、リア5kg/mmのバネレートでスタートし、サーキットでは文句ナシに良かったが、ストリートではややハードな乗り味で快適性に欠けると判断。フロント4kg/mm、リア3kg/mmへとレートダウンを行ている。また、タイヤもSタイヤからエコタイヤのDNAエコスに履き換え、サイズは175/60R13から165/65R13に変更した。すると、ライトウエイトなKP61らしい軽快なハンドリングが生まれ、街乗りでも快適性を犠牲にせずに楽しさが感じられるようになった。

 ハードグリップで攻めるサーキット仕様もよし、ストリートをメインにオールラウンドスポーツで楽しめるKP61も魅力的。その2台を所有するオーナーの選択は、まさにKP61の王道だ。

OWNER’S VOICE

KP61のコミュニティーは、非常に狭いこともあって仲間意識が強く、オーナーが愛車を製作する際にも、多くのKP61ユーザーが協力してくれた。そのおかげで、困難なはずのパーツ集めもスムーズに進んだそうだ。ただし、あまりにも世界が狭いため、ネットのオークションなとでは、知り合い同士が気付かずに競り合い、値段を釣り上げてしまっていたこともあるとか。そのため、現在では不毛な競り合いを防ぐため、仲間同士のIDを周知して、必ず確認するようにしているそうだ。



キャンバー角の適正化を図るため流用されたKP61前期モデルのタイロッドとロワアーム。エンジンルームをすっきりと見せるため、パネルのみが車内に残るエアコンなど【写真31枚】




スタック製の1万rpmスケールのタコメーターを追加。純正メーターフード内の視認性に優れた場所に設置する。





エンジンの直立化に伴い、ミッションの角度を変更しなければいけないため、傾いたミッションに合わせてシフトレバーの曲げ加工と、コンソールのシフトゲート部分を加工して対処している。





乗降性や快適性を重視し、助手席はリクライニングが可能なレカロのセミバケを装着。運転席はホールド性優先で、同じくレカロのフルバケSP-Gを選んでいる。


1984年式 トヨタ スターレット XL((KP61)
SPECIFICATIONS 諸元
■エクステリア:TRD製ルーフスポイラー、シビエヘッドライト、輸出用サードマーカー、グレー塗装(エンジンルーム)、チッピング(下回り)、アングル溶接補強(サイドシル)、アイバワークス製タワーバー
■エンジン:4K型改1430cc直立仕様、ステージⅡヘッド、ボアφ79mm×ストローク73mm(圧縮比11)/ガレージモリムラ製76度カム、TRD製ステージⅡバルブ、スプリング、リテーナー、ロッカーアーム加工(重量合わせ+タフトライド処理)、リフター軽量加工+タフトライド加工、ロッカーアームスペーサー、ヘッド面研、ポート拡大加工(チューニングショップ フォースト)、亀有製メタルガスケット1.0mm、CP製ピストン、TRD製H断面コンロッド、ブロックダミーヘッドボーリング、上面修正面研、ステフナー加工、砂落とし、純正クランクフルバランス取り、メタルWPC、TRD製オイルパン、オイルポンプ容量アップ、特注コクドベルト仕様プーリー、TRD製AE86用エンジンマウント、ウエーバー45DCOE、直立インマニ、ラバーインシュレーター、直立用タコ足、吉良自動車製φ50mmデフ下ストレートマフラー、オイルキャッチタンク
■点火系:永井電子機器製MDI、シリコンコード
■燃料系:ミツバ製燃料ポンプ
■冷却系:吉良自動車製ワンオフアルミ2層ラジエーター、セトラブ製オイルクーラー
■駆動系:OS技研製ストリートマスター(吉良自動車特注)、クラッチ&フライホイールバランス取り、直立ミッションオイルパン、ルート6製クロスミッション、TRD製LSD(ファイナル3.9)
■サスペンション:ビルズ製AE86用(F)全長調整式4kg/mm(R)タンク別体式3kg/mm
■ブレーキ:(F)AE86純正キャリパー&スリットローター+プロジェクトミュー製パッド
■インテリア:ラムコ製追加メーター(油温、水温、油圧)、スタック製タコメーター、カットオフスイッチ、レカロ製SPGフルバケットシート、タカタ製4点式ハーネス、キャロッセ製5点式ロールバー(追加バー2本)
■タイヤ:ヨコハマ エコス 165/65R13
■ホイール:SSRフォーミュラーメッシュ(F)13×7J(Bタイプ)(R)13×7J(Aタイプ)



初出:ノスタルジックスピード 2016年 3月号 vol.009 (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1984年式 トヨタ スターレット XL (全3記事)

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text:HIROSHI SHOUMATSUMOTO/正松本 宏 photo:RYOTA-RAW SHIMIZU/清水良太郎

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