「他人の手に渡ってしまうのは実に惜しい」|1984年式 トヨタ スターレット XL  Vol.1

オールステージをカバーするストリート仕様として、派手な走り屋らしさを封印しながらも、適度にスポーツテイストをアピールするKP61。

       
【1984年式 トヨタ スターレット XL  Vol.1】

直立4K型改のステージⅡ仕様で、ワインディングを軽快に攻める!

 オーナーは、10代後半から20代半ばまでをAE86とともにすごした車歴の持ち主。AE86を売却してからはラジコンにハマっていた。ただし、以前から素性を知って気になっていたKP61が売りに出されるのを知り、「他人の手に渡ってしまうのは実に惜しい」と奮起。そのKP61の新オーナーになることを決めた。

 それが10年前のことで、その後にレース用車両も手に入れ、現在は2台体制でKP61ライフを満喫。この1号車では、美しさと走りのバランスが取れたストリートスポーツを目指している。路肩にたたずむシルエットが美しく、その一方でワインディングでは牙をむき出しにした勇猛果敢な走りも可能なオールラウンドスポーツをイメージ。サーキット専用と割り切り、走りに特化した車両を別に所有しているからこそ、コンセプトを明確に打ち出したマシンメイクが可能となった。

 ストリート仕様に徹するため、エクステリアではフロントスポイラーやオーバーフェンダーなどの過度なレーシングテイストの演出は極力避けたが、当時の定番アイテムのひとつだったTRDのルーフスポイラーはどうして譲れなかった。コピー品や類似品の流通量が多いが、正真正銘の本物にこだわった。

後期グリルをベースに加工したフロント回り。TRD製の本物の証しが裏面に貼られているリアスポイラーなど【写真30枚】




ストリート仕様に徹するため、エクステリアではフロントスポイラーやオーバーフェンダーなどの過度なレーシングテイストの演出は極力避けたが、当時の定番アイテムのひとつだったTRDのルーフスポイラーはどうして譲れなかった。コピー品や類似品の流通量が多いが、正真正銘の本物にこだわった。





エンジンの直立化にともない、オイルパンはTRDの直立用を装着。エンジンメンバーとのクリアランスはギリギリ。また、オイルパンに合わせて、オイルポンプの容量アップ加工も行っている。





KP61前期モデルのタイロッドとロワアームを流用。キャンバー角の適正化を計っている。


【2】【3】に続く

1984年式 トヨタ スターレット XL((KP61)
SPECIFICATIONS 諸元
■エクステリア:TRD製ルーフスポイラー、シビエヘッドライト、輸出用サードマーカー、グレー塗装(エンジンルーム)、チッピング(下回り)、アングル溶接補強(サイドシル)、アイバワークス製タワーバー
■エンジン:4K型改1430cc直立仕様、ステージⅡヘッド、ボアφ79mm×ストローク73mm(圧縮比11)/ガレージモリムラ製76度カム、TRD製ステージⅡバルブ、スプリング、リテーナー、ロッカーアーム加工(重量合わせ+タフトライド処理)、リフター軽量加工+タフトライド加工、ロッカーアームスペーサー、ヘッド面研、ポート拡大加工(チューニングショップ フォースト)、亀有製メタルガスケット1.0mm、CP製ピストン、TRD製H断面コンロッド、ブロックダミーヘッドボーリング、上面修正面研、ステフナー加工、砂落とし、純正クランクフルバランス取り、メタルWPC、TRD製オイルパン、オイルポンプ容量アップ、特注コクドベルト仕様プーリー、TRD製AE86用エンジンマウント、ウエーバー45DCOE、直立インマニ、ラバーインシュレーター、直立用タコ足、吉良自動車製φ50mmデフ下ストレートマフラー、オイルキャッチタンク
■点火系:永井電子機器製MDI、シリコンコード
■燃料系:ミツバ製燃料ポンプ
■冷却系:吉良自動車製ワンオフアルミ2層ラジエーター、セトラブ製オイルクーラー
■駆動系:OS技研製ストリートマスター(吉良自動車特注)、クラッチ&フライホイールバランス取り、直立ミッションオイルパン、ルート6製クロスミッション、TRD製LSD(ファイナル3.9)
■サスペンション:ビルズ製AE86用(F)全長調整式4kg/mm(R)タンク別体式3kg/mm
■ブレーキ:(F)AE86純正キャリパー&スリットローター+プロジェクトミュー製パッド
■インテリア:ラムコ製追加メーター(油温、水温、油圧)、スタック製タコメーター、カットオフスイッチ、レカロ製SPGフルバケットシート、タカタ製4点式ハーネス、キャロッセ製5点式ロールバー(追加バー2本)
■タイヤ:ヨコハマ エコス 165/65R13
■ホイール:SSRフォーミュラーメッシュ(F)13×7J(Bタイプ)(R)13×7J(Aタイプ)



初出:ノスタルジックスピード 2016年 3月号 vol.009 (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1984年式 トヨタ スターレット XL (全3記事)

関連記事:伝説エンジンに大興奮

関連記事:スターレット

text:HIROSHI SHOUMATSUMOTO/正松本 宏 photo:RYOTA-RAW SHIMIZU/清水良太郎

RECOMMENDED

RELATED

RANKING