セリカの魅力にどっぷりハマり、幻のレーシングエンジン「126E」を搭載|1975年式 トヨタ セリカ1600GTV  Vol.4

前後とも13インチのタイヤ&ホイールということもあって、車高の低さはかなりのもの。マフラーはφ60.5mmのステンレス製だが、作り直す計画もあるそうだ。ちなみに、駆動系は、ミッションがTRD製の5速フルクロスを組み込んでいて、クラッチはOS技研製スーパーシングル、デフはTRD製LSD(ファイナル4.5)という設定だ。

       
【1975年式 トヨタ セリカ1600GTV  Vol.4】

【3】から続く

 大切に乗っている1600GTVは、トヨタ・ツインカム・クラブ初代会長の紹介で、1993年4月に東京のオーナーから譲ってもらったそうだ。入手時のコンディションはフルノーマル。当時はまだ部品が供給されていたため、純正パーツでリフレッシュしたという。ところが、ノーマルでは飽き足りない性分が災いし、ここからがオーナーがいう「アリ地獄」が始まった。そして外装、内装ともに手を入れていくことに。

 さらに、ボンネットを開けると、126E専用のツインプラグ仕様のヘッドカバーが目に飛び込んでくる。126Eは2T-G型をベースに、レース用としてトヨタが威信をかけて開発したスペシャルヘッドのうちのひとつ。幻のエンジンともいえる。

 2T-G型ブロックにツインプラグ、ビッグポート、ビックバルブのヘッドが搭載された126E。サイズは2T-G型と同等だが、簡単にポン載せというわけにはいかず、盛り上がったワークス風のタコ足、ドライサンプ用のオイルタンクの設置、オイルラインの配管など、126Eを搭載するための作業が必要となったという。

OWNER’S VOICE

大分県国東市で生まれ育ったオーナー。自宅横の駐車場には、部品取り用にと入手したTA22セリカが置かれているが、かなりボロボロの状態。当初は、走れるように仕上げる気もあったそうで、部品はひと通り揃っている。また、セリカを入れるガレージにも純正部品などをストックしている。縁があり126Eを手に入れることができたが、その際に世話になった方から久しぶりに連絡が。「151Eを買わないかっていうんです。なので、春には間に合わせたいと思って頑張ってます」とオーナー。アリ地獄は続きそうだ。



126E専用のツインプラグ仕様のヘッドカバーや、大きく盛り上がったワークス仕様のタコ足など【写真27枚】





冷却系も126Eに合わせて強化している。特注のアルミラジエーターはサイドタンク仕様だ。その横に設置されているのは、オイルキャッチタンク。


キャブ側のブロック前方には、ドライサンプ用のスカベンジポンプが装着される。これは100E用のトロコイド型だ。



アルミ製のオイルパンはドライサンプ用で、100E、126E、136E 共通。搭載にあたり、メンバー加工、AE86用ラック&ピニオンに変更などを行った。


1975年式 トヨタ セリカ1600GTV(TA22)
SPECIFICATIONS 諸元
■エクステリア:未レストア、シビエヘッドライト、ナポレオン バッカミラー、純正風リアスポイラー、
■エンジン:2T-G型改レース用ツインプラグヘッド(126E)、ボアφ88.5mm×ストローク78mm(圧縮比10.3)、TRD製カム(IN304度、EX288度)、多孔スプロケット、ビッグバルブ、2T-G型用強化バルブスプリング、レース専用シリンダーブロック(スティフナープレート付き)、TRD製鍛造ピストン、JUN製I断面コンロッド、3T型用クランク、TRD製カムギアトレーン、126E用ポンプドライブシャフト(スチール製削り出し)、100E用スカベンジポンプ(トロコイド)、126E 専用フロントカバー、ドライサンプ用オイルパン(100E、126E、136E共通)、ジュラルミン製ワンオフインテークマニホールド、ワンオフφ50mm等長ステンレスタコ足、φ60.5mmステンレスマフラー
■点火系:3T-G型用ディストリビューター&コイル、4T-GT型用ハイテンションコード
■燃料系:ミツバ製燃料ポンプ×2基、コレクタータンク
■冷却系:ワンオフサイドタンクアルミラジエーター、HPI製EVOLVEオイルクーラー
■操舵系:AE86用ラックアンドピニオン
■駆動系:OS技研製スーパーシングルクラッチ、TRD製5速フルクロスミッション、TRD製LSD(ファイナル4.55)
■サスペンション:(F)AE86用ストラット改車高調、AE92用ショートショック、TRD製スプリング(8kg/mm)、当時レース用スタビライザー(R)AE86用ビルシュタイン(エナペタル)改、TRD製KP61用スプリング(5kg/mm)
■ブレーキ:(F)スリットローター(R)フェロード製ブレーキシュー
■インテリア:モモ製ステアリング(ジャッキー・スチュワート)、TRD製タコメーター(11000rpm)、大森製追加メーター(油温、水温)、ラムコ製メーター(油圧)、キルスイッチ、オートルック製バケットシート
■タイヤ:(F)ヨコハマ アドバンA048 175/60R13(R)215/50R13
■ホイール:(F)トスコ製(パブリカ用改)13×8J(R)TRD製13×9J


初出:ノスタルジックスピード 2016年 3月号 vol.009 (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1975年式 トヨタ セリカ1600GTV (全4記事)

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photo:NOBUTAKA KOREMOTO/是本信高

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