販売したユーザーから戻ってきた「自分が欲しくて手に入れた」1台|1982年式 日産 ジュニア  Vol.3

A30グロリア、通称「タテグロ」のイメージとどうしても重なってしまうフロントフェイス。

       
【1982年式 日産 ジュニア  Vol.3】

【2】から続く

 今回の取材車両は、最終モデルとなる1982年式141ジュニア。型式の頭にJ‐が付き、エンジンは昭和54年排出ガス規制(ガソリン・LPG貨物車)をクリアしたH20型が搭載されている。

 このジュニアは岐阜県池田町に本社を構える旧車専門店「VRP」の販売車両だった。しかし単に仕入れたクルマではなく、代表の河村利哉さんがこのスタイリングに惚れて、自分が欲しくて手に入れたものだとか。

「もともとノーマルの状態で持っていて、当社がお客様に販売しました。その前オーナーがいろいろな部分をカスタマイズして乗っていたのですが、手放したいということで買い取りました」。

 戻ってきてから、ボディの塗装を元色に近いツヤ消しブルーに変更。またコラムシフトリンクの不調でギアチェンジがしにくくなっていたが、純正品のブッシュが手に入ったので、10個すべてを交換するなど、今は快適に走行できる状態に仕上げられている。

 商用車好きには見逃せない、程度良好のジュニアだ。


キャブオーバートラックが、持てはやされる中で奮闘

 初代ジュニア(上)の登場から2年後、実はジュニア・キャブオールという車名で、キャブオーバータイプのトラックが発売されていた。前車軸の上にキャブが乗り、その分荷台のスペースが大きくなるということで、トラックの流れはキャブオーバーに当然傾く。しかしジュニアは2代目(下)にモデルチェンジしてなお残された。ボンネットトラックにはそれを必要としているユーザーが確実にいたのだ。質実剛健、その愚直さに魅力を感じる。



商用車ならではのシンプルなインテリア。5穴のホイールが使えるよう変更されたハブ周りや、ディスク化されているフロントブレーキなど【写真16枚】



シートはベンチタイプの3人乗りで、左右2席には3点式シートベルトも標準装備となっている。



1982年式 日産 ジュニア 2t積み標準型(J-141)
SPECIFICATIONS 諸元
全長 4690mm
全幅 1690mm
全高 1720mm
ホイールベース 2805mm
トレッド前/後 1405/1400mm
最低地上高 220mm
車両重量 1455kg
床面地上高 805mm
荷台(内寸)長 2285/幅1590/高400mm
最大積載量 2000kg
乗車定員 3名
登坂能力 tanθ0.35
最小回転半径5.9m
エンジン型式 H20型
エンジン種類 水冷直列4気筒OHV
総排気量 1982cc
圧縮比 8.2:1
最高出力 92ps/4800rpm
最大トルク 16.0kg-m/3200rpm
変速機 フルシンクロメッシュ式前進4段・後退1段
ブレーキ 前後ともドラム式
タイヤ 前/後7.00-16-6/7.50-16-12
発売当時価格 95.2万円


初出:ノスタルジックヒーロー 2015年 04月 Vol.168 (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1982年式 日産 ジュニア (全3記事)

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photo : KAZUHISA MASUDA/益田和久

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