「じゃあ、あげるよ……で、私のもとに ギャランFTO 1400 GⅡ」|ノスヒロ制作スタッフの心に残っている旧車は、なに?

2015年、ノスヒロ制作スタッフの心に残っている旧車たちがこちら。

       
【ノスヒロ制作スタッフの心に残っている旧車は、なに?:2015】

 ノスタルジックヒーロー本誌執筆陣の片岡英明さん、御堀直嗣さん、田畑修さんと、表紙カメラマンの谷井功さん、そして編集部の5人。それぞれの心に残っている旧車をたずねたら、こんなラインナップになりました。読者の皆さんの思い出とつながっているクルマはありますか? 前編


サニー1200やカリーナHT。「じゃあ、あげるよ……」でいただいたギャランFTOなど【写真9枚】



軽量であることの素晴らしさを再認識 サニー1200 GL

 1台を選ぶのは難しいが、車名が絶えてしまったクルマのなかで、今でも強くひかれるのは若い頃に乗っていた2代目のサニー、B110だ。このサニー1200は、歴代のなかで傑作車として認められている。雑誌に登場し、高く評価されているのは、ほとんどがSUツインキャブを装着したGXだ。が、数年前に、ファミリー向けグレードの1200 GLに乗り、その真髄に気づかされた。シングルキャブ仕様だが、高回転まで気持ちよく回り、街中でもカントリーロードでも運転するのが楽しい。
 このサニーのステアリングを握り、軽量であることの素晴らしさを再認識させられた。ハンドリングは軽快だし、加速も減速も思いのままだ。燃費だっていい。パワー装備はほとんど付いていないが、燃料がなくなるまで走り続けたい、と思ってしまうクルマだ。



片岡英明 Hideaki Kataoka 

日本が元気いっぱいだった時代の旧車は、個性が濃密だから大好きだ。が、地球のことを考えると、足にするクルマはCO2排出量が少ないほうがいいと思う。そこで日常の足グルマに、EVを買って楽しんでいるライター。



忘れられないロータリーエンジンの感触 サバンナRX-7

 昨年のコスモスポーツに続いて、今回もロータリーエンジンなのか!? と言われるかもしれない。だが、私にとって心に残る旧車といえば、自分ではじめて買ったマツダ サバンナRX-7を外すわけにはいかないのである。もちろん、中古での購入だ。1980年代初頭といえば、まだ第二次オイルショックの余波を受け景気は良くなかった。そののちに、バブルが来るのだが…。1981年までレースに没頭していた私に余分の資金などあるはずもなく、35万円で買った中古のRX-7が最初のマイカーとなる。なぜRX-7か?   ロータリーエンジン車を一度運転してみたかった。そして、あのリトラクタブルヘッドライトが格好良く、RX-7デビュー当時からの憧れであったからだ。どこまでも回りつづけていきそうなロータリーエンジンの感触は、いまなお脳裏によみがえる。



御堀直嗣 Naotsugu Mihori

歴史を検証し、過去に学びながら未来を考察する作家として、クルマにまつわる書籍を多数上梓。最新刊は『ミニの至福』(河出書房新社)、今春にはスズキグリーン テクノロジーに関わる本をグランプリ出版から出版予定。



スタイリッシュな「羊の皮を被った狼」 カリーナHT 1600 GT

 自分が一時所有していたこともあるTA17カリーナハードトップ1600 GTが心に残っている。クーペスタイル+サイドウインドーがすべて開くハードトップはけっこうスタイリッシュだったし、セリカに対して「羊の皮を被った狼」的な雰囲気を秘めたところも気に入っていた。ソレックスツインキャブはなにかと手のかかる部分もあったが、調整がうまくいったときのパワー感と高回転域での音はやはり2T-G型ならでは。室内はおそらく今のコンパクトカーより狭かったが、3〜4人での移動も苦にならないスペースは確保されていた。ラリータイヤ(ダンロップSP44RやSP52R)を履かせて丹沢や秩父のダートを何度も走ったが、大きなトラブルにも見舞われず、冬はスキーに行ったついでに雪道ドライビングを楽しんだりと思い出は多い。




田畑 修 Osamu Tabata

自動車専門誌、自動車業界関連出版物などの編集に携わり、1998年からフリーランスに。新車関連だけでなくクルマを取り巻く社会の取材を行い、旧き良き時代を検証。楽しくクルマに乗り続ける方法を模索している。




じゃあ、あげるよ……で、私のもとに ギャランFTO 1400 GⅡ

 私の心に残っているクルマは、ギャランFTO 1400 GⅡです。今から35年前、上京したての私は、スティーブ・マックィーンも訪れた六本木の高級クラブでバーテンダーをしておりました。ある日のお客さまは某大手運送会社の御曹司さま。カウンター越しに「今クルマが欲しい」といった話をしていると「じゃあ、あげるよ……」と言われ、いただいたのがこのクルマ。三菱車好きの私は歓喜しました。もちろん1600 GSRが欲しかったのですが、世の中そんなに甘くはないですね。
 このクルマで初めて箱根ロケのデビューをしました。コスモAPの撮影を終え、東名高速でコスモの後をひたすら追っていたら、あえなくエンジンブロー。で、JAFさんのお世話に。エンジンオイルの不足が原因でした。それからオイルはマメにチェックしています。



谷井 功 Isao Yatsui

本誌の表紙撮影を長年続けている、1961年型の新進気鋭(?)フォトグラファー。3年前に八ヶ岳の麓に移住。孫のような5歳の娘と楽しく暮らしています。個人のクルマをスタジオ撮影できる「スタジオトルカ」代表。





サニー1200やカリーナHTなど【写真9枚】

【2】に続く


初出:ノスタルジックヒーロー 2015年 04月 Vol.168 (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

ノスヒロ制作スタッフの心に残っている旧車(全2記事)

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