「GTRを和製アルファと呼ぶことも多い。しかしGTを見たら……」 |1970年式 いすゞ ベレット1600 GT Vol.2

奥多摩湖の雪上にたたずむブリティッシュグリーンのベレット1600GT。クーペボディは基本的には、1600GT、1800GT、1600GTRすべて共通の2ドアモノコックとなる。

       
【1970年式 いすゞ ベレット1600 GT Vol.2】

【1】から続く
 
 1964年4月にデビューしたベレット1600GT。

 当時は、まだ乗用車よりもトラックなどの商用車の販売台数の方が多い時代だったが、高度経済成長にともなって国民の生活水準は向上し、ライフスタイルや価値観は多様化。そんな背景のなかで登場したベレットGTは、大衆のニーズに応えるべく、マイナーチェンジやパーツの仕様変更を繰り返す。変更点はブレーキやグリル、ミラーなど大小さまざまあるが、ヘッドライトの変更だけでも、4灯式、2灯式ヘッドライトとフォグランプ、変形角目、丸目2灯と数多く存在している。

 ここで紹介するブリティッシュレーシンググリーンカラーのベレット1600GTは、東京都羽村市のプロショップ「ISUZU SPORTS」が関東の老夫婦から譲り受けた車両で、主にインテリアをメインにレストアが施されている。GTRとは違って硬派過ぎない室内には、ほどよいスポーツ感が漂っており、ウッドや赤いフロアカーペットが英国風の高級感ある雰囲気を醸し出している。

「GTRを和製アルファと呼ぶことも多いかと思いますが、このクルマを見ればルーツが英国にあるとハッキリ分かるのではないでしょうか。シャコタンGTもたしかにジャパニーズ旧車らしくてカッコいい。それでも、このノーマル車高こそベレット本来の思想が凝縮されているかと思います。肩肘張らずにスマートにベレGを乗りこなすことができれば、気分はあの眩しかった60年代にタイムスリップすることができるはずです」とイスズスポーツの熊木諭巳さん。

キャビンとトランクのヒンジが外に出ており、イギリスのスポーツクーペを連想させるリアビューなど【写真15枚】





エンジンルームのフロント右側には、型式プレートとともに車台番号PR91-42121♯♯が刻まれている。






SOHCは吸排気バルブが斜めに1列に並び、ウェッジ形燃焼室を形成。エアクリーナーは、「ISUZU SPORTS」がストックしていた絶版の純正品に交換済み。






純正タイヤサイズは、前後とも6.45-13 4PR。ホイールはワタナベの13インチに変更されている。




【3】に続く


1970年式 いすゞ ベレット1600 GT(PR91)
SPECIFICATIONS 諸元
全長 4015mm
全幅 1495mm
全高 1335mm
ホイールベース 2350mm
トレッド前/後 1260/1240mm
最低地上高 205mm
室内長 1480mm
室内幅 1240mm
室内高 1060mm
車両重量 940kg
乗車定員 4名
最高速度 170km/h
0-400m加速 16.6秒
登坂能力sinθ 0.429
最小回転半径 5m
エンジン型式 G161型
エンジン種類 水冷直列4気筒SOHC
総排気量 1584cc
ボア×ストローク 82.0×75.0mm
圧縮比 9.7:1
最高出力 103ps/5800rpm
最大トルク 13.6kg-m/4200rpm
変速比 1速 3.467/2速 1.989/3速 1.356/4速 1.000/5速 0.864/後退 3.692
最終減速比 3.727
燃料タンク容量 40L
ステアリング形式 ラック&ピニオン
サスペンション前/後 ダブルウイッシュボーン/ダイアゴナルリング式スイングアクスル
ブレーキ前/後 ディスク/ドラム
タイヤ前後とも 6.45-13,4PR
発売当時価格 83万円


初出:ノスタルジックヒーロー 2015年 04月 Vol.168 (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1970年式 いすゞ ベレット1600 GT(全3記事)

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photo : RYOTA SATO/佐藤亮太

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