S800は、これから思い出を作っていくクルマ|1966年式 ホンダ S800 Vol.3

他にアルファGTを所有するオーナー。S800が来てからは家族に「アルファが普通のクルマに見える」と言われるようになったという。

       
【1966年式 ホンダ S800 Vol.3】

【2】から続く

 エクステリアデザインはもちろん、凝縮感のあるDOHCエンジン、ダブルウイッシュボーンサスペンションの機構、ハンドリングのシャープさ、ショートストロークのシフトフィールなど、ホンダSにはオーナーが求めていたスポーツカーの条件を十分に満足させるものがあったのだ。

 そこで、求めるホンダSのスペックを岩佐さんと相談し、ベース車両の選定からフルレストアまで全面的に任せることに。
 その後、ベース車両を確認することもなく、レストアが始まってからもときどき眺めに行った程度で、完全に岩佐さんに任せていたという。

 こうして仕上がってきたのが、今回の取材車両だ。このような形で旧車がフルレストアされる例は少ない。オーナーとショップの信頼関係あってこその作業の流れと言えるだろう。

 車両は、リジッドアクスル式に切り替わった直後のホンダS800で、もちろんガレージイワサ・クオリティーでレストアされた車体は、おそらく当時の新車時の状態よりも各部の組み上がりがしっかりとしていて、メッキパーツは強い輝きを放っている。

「岩佐さんはそう簡単には壊れないと言っていましたが、期待以上の走行性能でツーリングを楽しんでいます。油断はしませんがトライアンフよりは壊れないと思います(笑)」というオーナー。その後もうれしそうに今後のモディファイ計画を語ってくれた。
 オーナーにとってS800は、思い出のクルマというより、これから思い出を作っていくクルマなのだ。

OWNER’S VOICE

他にアルファGTを所有するオーナー。S800が来てからは家族に「アルファが普通のクルマに見える」と言われるようになったという。


内装はかなりレーシー。自分でラッカーを3度塗りして仕上げたオリジナルのステアリングなど【写真21枚】




シートは新品に張り替え。シートベルトは標準のガングリップタイプのものを使用。






オリジナルのステアリングは自分でラッカーを3度塗りして仕上げた。






センターコンソールにはハザードスイッチを追加。雰囲気を壊さず、ボルトオンできる赤色のボタンを探すのに苦労したという。



1966年式 ホンダ S800(AS800)
SPECIFICATIONS 諸元
全長 3335mm
全幅 1400mm
全高 1200mm
ホイールベース 2000mm
最低地上高 160mm
車両重量 720kg
乗車定員 2名
登坂能力 20.8°
最小回転半径 4.4m
エンジン型式 AS800E型
エンジン種類 水冷直列4気筒DOHC
総排気量 791cc
ボア×ストローク 60.0×70.0mm
圧縮比 9.2:1
最高出力 70ps/8000rpm
最大トルク 6.7kg-m/6000rpm
燃料タンク容量 35L
ステアリング形式 ラック&ピニオン
サスペンション前/後 トーションバー式ウイッシュボーン独立懸架/コイルバネ式トレーリングアーム独立懸架
ブレーキ前後とも 油圧式リーディングトレーリングシュー形式
タイヤ前後とも 6.15-13-4PR
発売当時価格 65.8万円



初出:ノスタルジックヒーロー 2015年 04月 Vol.168 (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1966年式 ホンダ S800(全3記事)

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photo : MASAMI SATO/佐藤正巳

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