ここから始まった「元祖スーパースポーツセダン」。4輪独立懸架、フロアシフト4速MT採用|1968年式 日産 ブルーバード SSS Vol.2

デラックス以上のグレードはオーバーライダー付きバンパーだ。初期型のリアコンビネーションランプは、ブレーキランプだけでなくウインカーも赤く点灯するタイプだった。

       
【1968年式 日産 ブルーバード SSS Vol.2】

【1】から続く

 新たに開発されたエンジンは、それまでのOHV方式から、高回転を得意とするSOHC方式を採用。スタンダードやデラックスには、実用的なシングルキャブ仕様のL13型エンジンが搭載された。ただし、フラッグシップモデルとなるスーパースポーツセダン(SSS)には、よりパワフルな1595ccのL16型直列4気筒エンジンを搭載。SUツインキャブを組み合わせることにより、100ps/13.5kg‐mというセダン最強の動力性能を誇っていた。

 L13型エンジンに組み合わされるトランスミッションは、フルシンクロの3速MTと3速ATだ。デビュー時は3速のコラムシフトだけだったが、1968年12月に4速フロアシフトが加わる。いっぽう、SSSは当初からフロアシフトの4速MTが採用されており、こちらは味わい深いシフトフィールのポルシェシンクロが組み込まれていた。

 サスペンションは、BMW1500が先鞭をつけた4輪独立懸架だ。当初の計画ではリアはリジッドアクスルだったが、開発途中で設計が変更された。フロントはストラット/コイル、リアはセミトレーリングアーム/コイルの独立懸架で、優れた操縦安定性と上質な乗り心地を実現するために、C30ローレルと同じレイアウトを採用した。このサスペンションは、ハイウェイ走行だけでなく、当時の日本ではまだ多かった未舗装路を意識したもの。SSSのポテンシャルの高さは、サファリラリーの優勝により実証されている。


L型4気筒を搭載した3代目。他グレードが1.3Lであったのと異なり1.6Lの排気量でさらにSUツインキャブを装着したSSS用のエンジンなど【写真16枚】




SSS専用デザインのホイールキャップ。当時は憧れの存在だった。





エンジンは5ベアリング支持のクランクシャフトやアルミ製ヘッドを持つL16型直列4気筒SOHCだ。後に日産を代表するパワーユニットにのし上がる。






SSSはSUツインキャブを装着し、100ps/13.5kg-mを発生した。エアクリーナーも専用だった。1968年10月にはL16型のシングルキャブ仕様のダイナミックシリーズが追加された。




【3】に続く


1968年式 日産 ブルーバード SSS(P510)
SPECIFICATIONS 諸元
全長 4120mm
全幅 1560mm
全高 1400mm
ホイールベース 2420mm
トレッド前/後 1280/1280mm
最低地上高 190mm
室内長 1740mm
室内幅 1290mm
室内高 1130mm
車両重量 915kg
乗車定員 5名
最高速度 165km/h
登坂能力sinθ 0.487
最小回転半径 4.8m
エンジン型式 L16型
エンジン種類 水冷直列4気筒SOHC
総排気量 1595cc
ボア×ストローク 83.0×73.7mm
圧縮比 9.5:1
最高出力 100ps/6000rpm
最大トルク 13.5kg-m/4000rpm
キャブレター SU型ツインキャブレター
変速比 1速 3.657/2速 2.177/3速 1.419/4速 1.000/後退 3.638
最終減速比 3.900
燃料タンク容量 46L
ステアリング形式 リサーキュレイティングボール式
サスペンション前/後 独立懸架ストラット式/独立懸架セミトレーリング式
ブレーキ前/後 ディスク/リーディングトレーリング式
タイヤ前後とも 5.60-13 4P
発売当時価格 75.5万円



初出:ノスタルジックヒーロー 2015年 04月 Vol.168 (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1968年式 日産 ブルーバード SSS(全3記事)

関連記事:心に残る国産旧車たち

関連記事:ブルーバード

text : HIDEAKI KATAOKA/片岡英明 photo : TAKASHI AKAMATSU/赤松 孝

RECOMMENDED

RELATED

RANKING