1965年式の初期型「レストアに25年くらいかかりました」|1965年式 トヨタ スポーツ800 Vol.3

25年もの長い眠りから目覚めたスポーツ800は、初期型のオリジナル状態にフルレストアされている。ボディカラーは純正のセミノールレッドで、美しいラインも再現されている。

       
【1965年式 トヨタ スポーツ800 Vol.3】

【2】から続く

 今回のヨタハチは、1965年式の初期型。1235台生産された中盤あたりの車台番号を持つ1台だ。

「1985年7月に、中古車屋さんに『石5』のシングルナンバーのヨタハチが入ったのを知り購入しました。ただし、自走はできるがボディはかなり傷んだ状態だったので、気長にレストアするつもりで、1988年頃から作業をはじめました」とオーナー。

 この頃はまだヨタハチの部品も入手しやすかったらしく、約120万円かけてひと通り必要な純正部品を入手することができたそうだ。現在では、製造廃止になった部品も多く、同じ部品を手に入れようとすると、3〜5倍くらいはかかるかもしれないとのこと。ただし、当時でもフロントフェンダーやフロントマスクは手に入らなかったため、FRP製を装着しているが、そう聞かなければ分からないくらい素晴らしい仕上がりとなっている。


「購入時からレストアするつもりだったので、1988年ごろから作業をはじめて、12年に完成しましたから、25年くらいかかりました。もちろん、毎日作業していたわけじゃなくて、気分が乗らない時期は触らずに放置してたんで、物置になってました。また気分が乗ったら作業するという感じです。なので今、大学に通っている息子がいるんですが、生まれた時からヨタハチはバラバラの状態だったので、どんなクルマかも分かっていなかったんです。それが昨年、帰省した時にヨタハチに乗せてドライブに行ったら、『バラバラだったクルマがちゃんと動くようになるんだ』と感心してましたよ」と楽しそうに語ってくれた。新品部品をふんだんに使ってフルレストアされたヨタハチは、まさに新車のような輝きを放っている。


アルミ地をアルマイト処理したメーターパネルや、スポークの根元まで金属の初期型のステアリングなど【写真41枚】





初期型はダッシュボード上にルームミラーを設置。1966年4月以降は、フロントウインドー上部に移設されている。灰皿もダッシュボード上にある(他車からの流用)。





左右シートの間には、キーで開閉する小物入れがある。フタの裏側には発煙筒が装備されており、奥が小物入れスペースとなる。





シート後方のジッパーを開くことで、トランクの荷物を取り出すことができる。また、ハズしたルーフはカバーをかけ、トランクに収納できる。


【4】に続く

1969年式 トヨタスポーツ800(UP15)主要諸元
SPECIFICATIONS 諸元
全長3610mm
全幅1465mm
全高1175mm
ホイールベース2000mm
トレッド前/後1203/1160mm
最低地上高175mm
室内長785mm
室内幅1250mm
室内高965mm
車両重量580kg
乗車定員2名
登坂能力sinθ0.441
最小回転半径4.3m
エンジン型式2U型
エンジン種類空冷水平対向2気筒OHV
総排気量790cc
ボア×ストローク83.0×73.0mm
圧縮比9.0:1
最高出力45ps/5400rpm
最大トルク6.8kg-m/3800rpm
変速比1速4.200/2速2.400/3速1.550/4速1.125/後退4.333
最終減速比3.300
燃料タンク容量30L
ステアリング形式ウオーム・セクターローラー式
サスペンション前/後ウイッシュボーン・トーションバー/非対称半楕円板ばね
ブレーキ前/後ツーリーディング/リーディングトレーリング
タイヤ前後とも6.00-12-4PR
発売当時価格59万2000円


初出:ノスタルジックヒーロー 2015年 04月 Vol.168 (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1965年式 トヨタ スポーツ800(全4記事)

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photo : RYOTA-RAW SHIMIZU/清水良太郎

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