新型スポーツカー「フェアレディZ」北米での人気を背に、国内専売だったグレード|1970年式 日産 フェアレディZ432 Vol.1

フロントバンパーに吊り下げられているのは、オプションのフォグランプ(沃素式)。バンパーの角に装着されているゴムバンパーは、Z-LとZ432に標準装備となっていた。

       
【1970年式 日産 フェアレディZ432 Vol.1】

 1969年11月、日産から新型スポーツカー「フェアレディZ」が発売された。S30の型式が与えられたこのクルマは、当初は4つのグレードで構成されていた。L20型エンジン+4速MTのZ、同エンジン+5速MTのZ‐L、そしてプリンス直系のS20型エンジン+5速MTのZ432とレース専用車のZ432‐R。

 翌70年4月には3カ月遅れでアメリカでもダットサン240Zが発売開始。

 パワーとトルクに余裕のあるL24型エンジンを採用したダットサン240Zは、今や伝説の大ヒット車となり、ダットサンのブランドを北米で一気に広めていった。L型エンジン搭載車の成功で、メンテナンスや調整が難しいS20型を載せるモデルが海を渡る機会はなくなり、Z432は結果として国内専売グレードとなった。

 本誌読者の皆さんにとって、すでにおなじみのS30Zではあるが、いつかは自分のものにしたいと、いまだに恋い焦がれているファンも少なくないはず。1台持てれば十分幸せになれると思うが、世の中にはすごい人がいるもので、良好なコンディションのS30Zを3台も並べている人がいる……。

S20型エンジン搭載車であることを示す「432」のエンブレムなど【写真24枚】




スポイラーに付く車名エンブレム。





リアクォーター左右のエンブレム。初期型はテールゲートに2カ所のエアアウトレットがあるため、このエンブレムに換気機能はない。





S20型エンジン搭載車であることを示す「432」のエンブレムが光る。グレード名は4バルブ、3キャブ、2カムシャフトに由来すると当時のカタログには表現されているが、メーカー関係者の一部では、日産横浜工場の4号館3階、第2会議室に当時の設計プロジェクトチームがあったから、という説もある。

【2】【3】【4】に続く

1970年式 日産 フェアレディZ432(PS30)
SPECIFICATIONS 諸元
全長 4115mm
全幅 1630mm
全高 1290mm
ホイールベース 2305mm
トレッド前/後 1355/1345mm
最低地上高 165mm
車両重量 1040kg
乗車定員 2名
最高速度 210km/h
登坂能力sinθ 0.420
最小回転半径 4.8m
エンジン型式 S20型
エンジン種類 水冷直列6気筒DOHC
ボア×ストローク 82×62.8mm
総排気量 1989cc
圧縮比 9.5:1
最高出力 160ps/7000rpm
最大トルク 18.0kg-m/5600rpm
変速機 フルシンクロメッシュ式前進5段・後退1段
変速比 1速 2.957/2速 1.858/3速 1.311/4速 1.000/5速 0.852/後退 2.922
最終減速比 4.444
燃料タンク容量 60L
ステアリング形式ラック&ピニオン式
サスペンション前/後 独立懸架ストラット式/独立懸架ストラット式
ブレーキ前/後 ディスク式/リーディングトレーリング式
タイヤ前後とも 6.95H-14-4PR(マグネシウム合金ホイール)
発売当時価格 185万円


初出:ノスタルジックヒーロー 2015年 04月 Vol.168 (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1970年式 日産 フェアレディZ432(全4記事)

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photo : ISAO YATSUI/谷井 功

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