「げんこつヘッド」！　インパクトから逆算された、前人未到のM型+6連装FCRキャブ｜1969年式 トヨペット クラウン ハードトップ　Vol.2

【1969年式 トヨペット クラウン ハードトップ　Vol.2】

【1】から続く

　今から10年くらい前に、部品取りのつもりでオークションに出ていたMS51ハードトップを購入したオーナーも、最初からM型をイジろうと燃えていたワケではない。ましてや当時、流行のきざしを見せ始めていた高年式エンジンへのスワップも眼中になかったそうだ。

　その気持ちがM型モディファイに一気に傾いたのは、ムーンアイズが主催する年に一度のインドアカーショー「横浜ホットロッドカスタムショー」へのエントリーを行うようになってから。

「初めは純正シングルキャブをSUツインにしたりしてましたが、さらに進化させるとなると、考えられるのはソレックス。でも、それだとヒネリがないし、見た目のインパクトも重視して、FCRキャブ化を思いついたんです」と、オーナーはプロジェクトのきっかけについて話してくれた。


　FCR化を思いついたまではよかったが、先にも述べたように、パーツがないのがM型の弱点。そこで、100系のクラウンにソレックスを付けていた知人を頼り、自分もインマニを手に入れたいと打診したところ、発売元に奇跡的にあった最後の在庫を確保することに成功する。これに6個のFCRキャブと、それをつなぐワンオフのリンケージを組み合わせ、インテーク側はなんとかカタチにすることができた。

　対する排気系は、トラストから発売されていたトヨタのほかの6気筒用タコ足とM型エンジンの間に取り付けるフランジをワンオフで製作することで対応している。エンジン内部のピストンなどには一切手を付けていないが、それでも吸排気の交換によって、パワーとフィーリングは、格段に向上した。


インジェクション時代のM型用に作られたインマニを加工して、6連装されたケイヒンFCRキャブφ35mmなど【写真23枚】




インジェクション時代のM型用に作られたインマニの、ボルト位置に手を加えて装着を実現。ケイヒンFCRキャブφ35mmを6個動かすリンケージの加工が一番大変だったそうだ。






タコ足はトラスト製の他車用をフランジ加工して取り付ける。その背後にプラグコードを隠したことも、エンジンルーム全体をシンプルに見せるためのアイデアだ。






キャブのファンネルと干渉するヒーターファンダクトも、カバーの短縮化、ダクトの作り替えなどで共存できる関係に。




【3】に続く


1969年式 トヨペット クラウン ハードトップ
SPECIFICATIONS　諸元
● エクステリア : ヘッドライトH4化/69年式シボレーカマロ•ドアミ
　ラー/ワイパーアームツヤ消しブラックペイント/ワイパーカウル
スムージング/リアボディ下マフラー出口スムージング
● エンジン : スムージング&ポリッシュヘッドカバー/ワンオフアルミ
削り出しオイルフィラーキャップ/オレンジペイントブロック/
GX81用パワステポンプ/ワイヤータック/シェイブドベイ 　(ヒーターファンダクト位置加工)
● 点火系 : MS110用フルトラデスビ/プラグコードヒドゥン
● 燃料系 : FJ20型用燃料ポンプ/ホーリー•レギュレーター
● 吸排気系 : ケイヒンFCRキャブφ35mm×6/エスコート製M型
　用インテークマニホールド/トラスト製トヨタ他車用タコ足改/
ワンオフスチールデュアルマフラー
● 冷却系 : MS60用ラジエーター(コアサポートビルドインタイプ)
MS110用ウオーターポンプ&ウオーターポンプケース
● 駆動系 : MS110用5速ミッション/プロペラシャフト/
MS130用ホーシング(片側17mm切り詰め)
● サスペンション : 前後アッパー&ロワアーム取り付け位置変更
　(F)MS130用純正エアサス/ワンオフドロップスペーサー
　(R)ベローズ式エアバッグ、ムーンアイズ製ショック/
　調整式ラテラルロッド
● ブレーキ : (F)MS110用ベンチレーテッドディスク/
軽自動車用マスターバック流用
● インテリア : ムーンアイズ製タコメーター/
エアサス用プレッシャーゲージ/電動ファンコントローラー
● タイヤ : BFグッドリッチ ラジアルT/A 215/60R15
● ホイール : アメリカンレベル•スプリント　15×8.0J +6


初出：ノスタルジックスピード 2015年11月　Vol.008（記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです）

1969年式 トヨペット クラウン ハードトップ（全3記事）

関連記事：N.SPEED HOT ROD

関連記事：クラウン