「オニクラ」と呼ばれたその由来とは?|1983年式 クラウン 4ドア ハードトップ 2800 ロイヤルサルーン Vol.2

新型エンジンを積極的に導入し、伝統と新時代の融合を果たしたS110系クラウン。

       
【1983年式 クラウン 4ドア ハードトップ 2800 ロイヤルサルーン(MS112) Vol.2】

【1】から続く

 新開発の2.8L直列6気筒SOHCの5M‐EU型を搭載し、動力性能を向上させたS110系クラウン。

 しかし、S110系の3カ月前にデビューしていた430セドリック&グロリアは、クラウンのデビューに合わせるように日本初のターボエンジンL20ET型を投入してきた。それに対応するため、430セド・グロから遅れること1年の1980年10月に、トヨタ初となる6気筒SOHCターボのM‐TEU型を搭載。このエンジンは、2Lながら5M‐EU型と同等のパワーを誇り、430セド・グロとも肩を並べる位置に達した。

 さらに、クラウンの攻勢はそれでは終わらない。翌1981年には大幅なマイナーチェンジを敢行。通称「オニクラ」と呼ばれる由来となった異形2灯のヘッドランプなど、エクステリアを刷新。そして、最大のポイントは新パワーユニットの投入だ。それが2.8L直列6気筒ツインカムの5M‐GEU型で、5M‐EU型から25 psものパワーアップを果たしている。一方、トランスミッションには新たに電子制御4速ATを組み合わせ、ハイパワーかつ滑らかな、フラッグシップにふさわしい走行性能を手に入れた。加えて言うならば、2L自然吸気エンジンもこのタイミングで次世代の1G‐EU型に移行している。

 これらパワーユニットの導入で、先手を打った430セド・グロにアドバンテージを得たS110系。やはり高級車のベンチマークはクラウンなのだ。

S110系の特徴の中央が尖ったフロントバンパーや、後期型が「オニクラ」だと呼ばれるようになった由縁のヘッドランプデザインなど【写真19枚】





ツインカム化された5M-GEU型は燃料噴射や点火時期などコンピューター制御を導入し、低燃費とハイパワーを両立。





エンジンはノーマルだが、永井電子のパワープラグコード、イリジウムプラグ、カオスバッテリーなどへの変更で、快適さを追求している。





タコ足は当時ものでマフラーはステンレス製のワンオフ。




【3】に続く


1983年式 クラウン 4ドア ハードトップ 2800 ロイヤルサルーン(MS112)
SPECIFICATIONS 諸元
全長×全幅×全高(mm) 4860×1715×1410
ホイールベース(mm) 2690
トレッド前/後(mm) 1430/1400
車両重量(kg) 1500
エンジン型式 5M-GEU型
エンジン種類 直列6気筒DOHC
総排気量(cc) 2759
ボア×ストローク(mm) 83.0×85.0
圧縮比 8.8:1
最高出力(ps/rpm) 170/5600
最大トルク(kg-m/rpm) 24.0/4400
変速比 1速 2.452/2速 1.452/3速 1.000/4速 0.689/後退 2.212
最終減速比 4.300
ステアリング形式 ボールナット
サスペンション前 / 後 ダブルウイッシュボーン/車軸式
ブレーキ前 / 後 ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤ 185SR14(前後とも)
発売当時価格 336.7万円



初出:ハチマルヒーロー 2013年 11月号 vol.23(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1983年式 クラウン 4ドア ハードトップ 2800 ロイヤルサルーン(全3記事)

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text : Rino Creative/リノクリエイティブ photo : MAKOTO INOUE/井上 誠

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