「サイドシルをちょっと直すつもりで塗装をはがしたらスイッチが入り……部品取り車を2台も入手」|1966年式 プリンス スカイライン 2000 GT-B Vol.3

スパルタンなイメージが漂うS54B-II。I型とII型初期には丸形テールランプにモールがない。III型からは、Cピラーにエアドラフターが装着される。

       
【1966年式 プリンス スカイライン 2000 GT-B Vol.3】

【2】から続く

 今回撮影した2000GT‐Bは、「Ⅱ型」と呼ばれるプリンス時代に生産された「S54B‐Ⅱ」。オーナーは7年前に入手し、6年かけて徹底的にレストアを施している。

「サイドシルにサビがあったくらいに見えたので、チョコチョコ直して乗るつもりだったんですが、勢いでボディをドンガラにしちゃいました。板金屋さんの見よう見まねで、自分で総はく離から板金をやりました。部品取り車を2台も入手して、エンジンからミッション、デフまで手を入れています。苦労したのはやはり部品の入手で、Ⅱ型とⅢ型ではかなり違うため、Ⅱ型の部品を手に入れるのは本当に大変です。グリルやエンブレムはもちろん、フェンダーミラー、ウインドーのモール、給油口のキャップ、シートなどはⅡ型とⅢ型では違いますし、いろんな部分が違います」と、レストアの苦労やⅡ型へのこだわりを熱く語ってくれた。

 このS54B‐Ⅱは、G7型エンジンにはトモエ製のオーバーサイズピストンを組み込み、ワンオフのステンレス製タコ足とマフラーを装着。また、ミッションは貴重な純正オプションの5速ミッションながら、デフにはトヨタのアルテッツァ用のトルセンデフを加工して組み込み、トルクロッドも製作。足回りにはビルシュタインのダンパーを組み込み、ホイールはビッグライトの13インチを履かせている。

 プリンスの技術とプライドをかけて誕生した、元祖「羊の皮を被った狼」。その情熱は確実に受け継がれていた。


OWNER’S VOICE/ボディはグレーがかった白で「事務机色」と呼んでます

「入手したときは車検が残っていたので、1年くらいはそのまま乗る気でした。サイドシルをちょっと直すつもりで塗装をはがしたらスイッチが入り、下回り、ドア、フェンダー、ついにはボディを総はく離してフルレストアすることになりました。部品取り用に2台のS54を手に入れましたし、Ⅱ型の部品もあちこちから入手して、6年かけてようやく完成させました」とオーナー。

 2013年10月に細部にまでコダワったS54B-Ⅱは、外観はもちろん機関のコンディションも完ぺき。ただし、「OPの5速ミッションは当時から弱点だったようで、長距離ドライブでは途中でオイルを足さないと焼き付きます。魚沼まで走ったときはギリギリでした」とのこと。今後も自慢のS54B-Ⅱの走りを楽しんでいくそうだ。




ウエーバー40DCOEを3連装のキャブレターや、オプションの99Lが装着されたトランクの燃料タンクなど【写真22枚】




まるで新車のようなエンジンルーム。G7型エンジンは、OH時にトモエ製オーバーサイズピストンが組み込まれており、ワンオフのステンレス製タコ足を装着する。






トランクの燃料タンクはオプションの99Lを装着。Ⅰ型とⅡ型の標準は50Lで、Ⅲ型は99Lが標準。トランク内にも給油口がある。


1966年式 プリンス スカイライン 2000 GT-B(S54B-2)
SPECIFICATION 諸元
全長 4255mm
全幅 1495mm
全高 1410mm
ホイールベース 2590mm
トレッド前/後 1265/1255mm
最低地上高 155mm
室内長 1675mm
室内幅 1275mm
室内高 1115mm
車両重量 1070kg
乗車定員 5名
最高速度 180km/h
登坂能力 sinθ0.502
最小回転半径 5.25m
エンジン型式 G7型
エンジン種類 直列6気筒SOHC
総排気量 1988cc
ボア×ストローク 75.0×75.0mm
圧縮比 9.3:1
最高出力 125ps/5600rpm
最大トルク 17.0kg-m/4400rpm
キャブレターウエーバー 40DCOE×3
変速比 1速2.851/2速1.854/3速1.378/4速1.000/5速0.810/後退3.564
最終減速比 4.444
燃料タンク容量99L
ステアリング形式 /リサーキュレーティングボール
サスペンション前/後 独立ウイッシュボーン・コイル/リジッド半楕円リーフ
ブレーキ前/後 ディスク/リーディングトレーリング
タイヤ前後とも 5.60-13-6PR
発売当時価格 89.5万円



初出:ノスタルジックヒーロー 2015年 02月 Vol.167 (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1966年式 プリンス スカイライン 2000 GT-B(全3記事)

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photo : MOTOSUKE FUJII(SALUTE)/藤井元輔(サルーテ)

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