ターボとともに振り返る80年代|ターボエンジンの進化の軌跡

80年代をターボとともに振り返る。1983年 国産初のV型ターボエンジン、1985年国産初のツインターボ登場、1987年軽自動車初のツインカムターボ、1989年国産初の280ps到達、1989年ツインチャージャー登場。

       
【ターボエンジンの進化の軌跡】

1979年に国産初のターボ車となる430セドリック&グロリアが登場すると、
各メーカーはしのぎを削ってターボ車を開発し、続々とリリース。
そして、80年代のパワーウォーズに発展していったのだ。

 1980年代、日本の自動車メーカーは技術革新に意欲を燃やした。テクノロジーの花形で、進化が著しかったのはターボチャージャーだ。日本初のターボ搭載車は430セドリック/グロリアの4ドアHTで、省エネターボを口実にスタートした。これ以降、日本のターボは最先端の技術を積極的に導入。数年後には、軽自動車から高級車までターボで武装するようになった。

 80年代、世界に誇るターボ先進国は我が日本だ。三菱重工やIHIなど、ターボに関わっているサプライヤーが多かったことも普及に大きく貢献した。だから技術革新は目覚ましい。ノックコントロールシステムに始まり、効率アップに欠かせないインタークーラーも早い時期に採用している。ちなみに、日本で初めてインタークーラーを採用したターボ車は三菱スタリオン。

 この少し前にマツダは世界初のロータリーターボを市場に投入。ホンダもシティにターボを設定し、高性能ターボの魅力をアピールする。日本初のDOHCターボを市場に送り込んだトヨタは、1985年に日本で初めてツインターボを実用化。日産もスカイラインRSに日本初のDOHC4バルブターボを設定。この図式が一般的になり、軽自動車のアルトワークスも誕生した。

 ダイハツは世界最小のディーゼルターボを発売し、技術力の高さを見せつけた。可変ノズルターボに先鞭をつけたのも日本だ。日産はジェットターボを、ホンダはウイングターボを送り出した。タービンブレードにニッケル合金やセラミックを採用するなど、素材面の革新や形状の工夫も進化。1989年に280ps時代が到来するなど、日本のターボ技術は最先端を行っていた。


430セドリック&グロリアから始まる、国産ターボ車の歴史など【写真14枚】

1979 国産初のターボエンジン

国産ターボ車の歴史は、この430セドリック&グロリアから始まった。搭載されるL20ET型は145psを発揮し、後に繰り広げられるパワー競争に火をつけた。
430 CEDRIC & GLORIA/L20ET型




1982 ロータリーターボも次々登場

世界初のロータリーターボとして、コスモ/ルーチェに12A型を搭載。その翌年にはRX-7にも同エンジンを採用し、次第にロータリーターボは普及していった。
SA22C SAVANNA RX-7/12A型





1982 ホンダ初のターボエンジン

他メーカーに後れをとりながらも、ホンダはシティに自社初のターボエンジンを搭載。軽量ボディとターボパワーの組み合わせで、若者を中心に人気を博した。
AA CITY/ER型






1983 国産初のV型ターボエンジン

V型エンジンに初めてターボを付けたのも日産。Y30セドリック&グロリアはデビュー時に2LのVG20ET型が搭載され、約1年遅れて3LのVG30ET型も登場。
Y30 CEDRIC & GLORIA/VG20ET型





1985 国産初のツインターボ登場

国産車初のツインターボとなったのが、トヨタの1G-GTEU型。最初にマークⅡ三兄弟に搭載され、後にソアラやスープラにも採用された。
GX71 MARK II & CHASER & CRESTA0/1G-GTEU型





1987 軽自動車初のツインカムターボ

年々進化する軽自動車だが、1987年にはついにツインカムターボが登場。このアルトワークスがきっかけで軽自動車64ps規制ができたのは有名な話。
CA72V ALTOWORKS/F5A型








1989 国産初の280ps到達

1989年にデビューしたZ32が、国産車で初めて280psをマーク。しかし、これに伴い自主規制もスタートした。この後はしばらく上限280psの時代が続くことに。
Z32 FAIRLADY Z/VG30DETT型




1989 ツインチャージャー登場

ターボとスーパーチャージャーという2つの過給器をドッキングしたMA09ERT型。初代マーチに搭載され、モータースポーツでも大いに活躍した。
K10 MARCH/MA09ERT型





初出:ハチマルヒーロー 2014年 02月号 vol.24(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

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text : HIDEAKI KATAOKA / 片岡英明

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