日本初の可変バルブタイミング機構採用! フルラインターボの頂点に立つ|三菱 スタリオン  ターボ Vol.1

1989年式 三菱 スタリオン 2000 ターボ GSR-Vと、2台の1989年式 三菱 スタリオン 2600 ターボ GSR-VRが登場。

       

スリーダイヤのグランドスポーツ


【1989年式 三菱 スタリオン 2000 ターボ GSR-V / 2600 ターボ GSR-VR Vol.1】

 ギャランΛの後継モデルとして、1982年にデビューしたスタリオン。北米を強く意識したロングノーズ&ファストバッククーペのシャープなスタイリングは最近のクルマと比較しても斬新で、今でも多くの人が虜になっている。また、テレビドラマ「ゴリラ・警視庁捜査第8班」や映画「キャノンボール2」に登場したことで知名度を上げ、ファンを増やしたことは間違いないだろう。そして、80年代半ばにスタートしたグループAレースでの活躍により、スポーツカーとしてのイメージを強く持つ人もいるはずだ。このように、80年代を代表する1台と言っても過言ではないスタリオンには、いくつかのトピックがある。なかでも、エンジンの移り変わりはじつに特徴的だ。

 デビュー当初は2L直列4気筒の自然吸気とターボという2種類のG63B型がラインナップされていたが、約1年後には早くも自然吸気が消滅し、ターボのみのラインナップに。そしてターボには空冷式インタークーラーが装着されて、最高出力は145psから175psまで高められた。

 そして話題をさらったのが、G63B型ダッシュの登場だ。これは1984年5月に追加されたGSR‐Vに搭載されたユニットで、最大の特徴は日本初の可変バルブタイミング機構を採用したこと。1つのシリンダーに対して低速用のプライマリーバルブと中高速用のセカンダリバルブという2本の異なる大きさの吸気バルブと、1本の排気バルブからなるメカニズムで、低速域では小径のプライマリーバルブのみを作動させて低速トルクと燃焼効率を向上。そして中高速域では大径のセカンダリーバルブも同時に作動させることで、吸入混合気の量を大幅に増加させ、ハイパワーを可能にしたシステムだ。さらに、最適な燃料噴射を実現するECI(電子制御燃料噴射装置)や空冷式インタークーラーを装備し、ブースト圧や点火時期などのコンディションをトータルで管理する総合電子制御システムを採用することで、スムーズなパワー特性を実現。その結果、200ps(後にネット値170psに変更)という数値を手に入れ、ツインカムターボやツインターボを搭載したライバルたちに対抗したのである。

 こうして年々進化を遂げていったスタリオンは、1988年4月に2.6L直4SOHCターボのG54B型を投入。最高出力こそG63B型ダッシュと5psしか変わらないものの、最大トルクは6kg‐mも上回っており、大排気量・ロングストロークエンジンの特徴である圧倒的なトルクを生かした走りを見せつけた。つまり、スタリオンの本質であるグランドツアラー的な要素が、いっそう強められたというわけだ。また、G63B型ダッシュ搭載の5速MT車とギア比を比較しても、5速のギア比は同じながら、最終減速比はよりハイギアードになっている。このことからも、より高速巡航をねらったセッティングに変更されているということがわかる。

 エンジンの話からは離れるが、このG54B型を搭載するGSR‐VRは、スタリオンの象徴ともいえるブリスターフェンダーボディを採用。加えて、国産車初の50偏平タイヤ装着車でもある。そしてG63B型ダッシュの走りを好む人もいれば、このブリスターフェンダーのアグレッシブなスタイルに憧れる人も多い。それゆえ、オーナーたちの楽しみ方も十人十色なのだ。

今回は、1台の1989年式 三菱 スタリオン 2000 ターボ GSR-Vと、2台の1989年式 三菱 スタリオン 2600 ターボ GSR-VRを紹介する。

テールゲートに誇らしげに示されるINTERCOOLER TURBOの文字など【写真5枚】





1989年式 三菱 スタリオン 2000 ターボ GSR-V




1989年式 三菱 スタリオン 2600 ターボ GSR-VR




1989年式 三菱 スタリオン 2600 ターボ GSR-VR


【2】【3】【4】に続く


初出:ハチマルヒーロー 2014年 02月号 vol.24(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1989年式 三菱 スタリオン 2000 ターボ GSR-V / 2600 ターボ GSR-VR(全4記事)

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text : Rino Creative/リノクリエイティブ photo : MAKOTO INOUE/井上 誠

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