日本初のツインカムターボで、真のスポーツセダンへ昇華|1984年式 トヨタ コロナ セダン 1800 GT-TR Vol.1

中央が尖ったバンパーがT140系コロナの特徴。セダンのグリルは、前期は横スリットだったが後期では格子状となった。

       
【1984年式 トヨタ コロナ セダン 1800 GT-TR Vol.1】

 高回転・高出力を可能にし、元来は高性能なスポーツカー用ユニットとして使われていたツインカム。一方、排気ガスのエネルギーを利用してタービンを回し、エンジンに吸入される混合気の圧力を高めることでハイパワーを生み出すターボ。どちらもエンジン性能の向上には有効なメカニズムで、トヨタはツインカム、日産はターボと、その技術力を高めてきた。そして80年代初頭には「ターボかツインカムか!?」という論議が盛んに行われていたのだ。しかし、日本初のツインカムターボが登場したことで、その論争に終止符が打たれた。そのエンジンが、1982年にA63セリカ/カリーナなどに搭載された3T‐GTEU型である。

 既存の3T‐EU型をベースにツインカムヘッドを搭載し、トヨタ内製のタービンをドッキングした3T‐GTEU型は、1気筒あたり2つのプラグを備えて燃焼効率を高めるツインプラグ方式や、最良の点火時期を可能にするコンピュータ・ノックコントロールなどを採用し、最高出力160ps、最大トルク21.0kg‐mというハイスペックを実現。この数値は、同社の2Lエンジン1G‐GEU型と比較しても互角以上で、最高出力は同じながら最大トルクでは2.5kg‐mも上回っていた。そして、この世界的にもまれなメカニズムを持った高性能エンジンは、瞬く間にクルマ好きの心をつかんだのだ。

低いダッシュボードで開放感を持たせたというインパネのデザインや、タコメーター下部にターボのインジケーターランプとウォーニングランプが設置されるメーターレイアウトなど【写真18枚】





リアにツインカムターボを表すエンブレムはないが、ウインドー下部に「TWINCAM TURBO」のデカールが。





ノーマルマフラーは腐食することが多く、現在のもので4〜5本目だとか。なおマフラー本体は新品供給されるが、フィニッシャーはないという。





オプションの15インチアルミホイールかと思いきや、じつは10ソアラ用。同デザインだが表面処理が異なる。


【2】【3】に続く

1984年式 トヨタ コロナ セダン 1800 GT-TR(TT142)
SPECIFICATIONS 諸元
全長×全幅×全高(mm) 4575×1680×1395
ホイールベース(mm)  2500
トレッド前/後(mm) 1395/1385
車両重量(kg)  1165
エンジン型式  3T-GTEU型
エンジン種類 直列4気筒DOHCターボ
総排気量(cc) 1770
ボア×ストローク(mm) 85.0×78.0
圧縮比 7.8:1
最高出力(ps/rpm) 160/6000
最大トルク(kg-m/rpm) 21.0/4800
変速比 1速 3.566/2速 2.056/3速 1.384/4速 1.000/5速 0.850/後退 4.091
最終減速比 4.100
ステアリング ラック&ピニオン
サスペンション前/後 ストラット/セミトレーリングアーム
ブレーキ前/後 ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤ 185/70R14(前後とも)
発売当時価格 203.2万円


初出:ハチマルヒーロー 2014年 02月号 vol.24(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)


1984年式 トヨタ コロナ セダン 1800 GT-TR(全3記事)


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text : Rino Creative/リノクリエイティブ photo : MAKOTO INOUE/井上 誠

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