当時と同じシャシーブラックを塗る。未走行車のようなキレイな下回り|1974年式 日産 スカイラインHT 2000 GT-X Vol.2

まるで新車のようにレストアされた各部。

       
【1974年式 日産 スカイラインHT 2000 GT-X Vol.2】

【1】から続く

 同世代の、今は「おっさん」と呼ばれる人たちにとって、ケンメリはある意味特別なクルマといっていいだろう。

 しかしこの車体のオーナーがそういう人たちと一線を画しているのは、実際にケンメリを購入し、憧れていたGT‐Rのスタイルそのままに仕上げてしまったところにある。通常われわれは、「ケンメリってカッコいいよなぁ」とは思ってはいても、レストアにかかる時間や費用、保管場所の確保など、さまざまな必要となる要因を考えると、所有に踏み切るまではできない。しかしその大きく高い壁を乗り越えようというその意志の強さを、オーナーは持っていた。

 事実、このケンメリを購入した時のの状態は、決していいとはいえないものだったそうだ。ボディカラーはもともと緑色だったが、塗装はもちろん、鉄板にはサビが浮いているという、いわゆるボロい状態だった。そこで小坂さんは、まず最初にボディの補修から作業を始めてもらうこととし、エンジンを降ろしたり、ドアを外すなどの作業は自分でやりながら、古くから付き合いのある紀の川市の「オートリファイン」にボディ補修の依頼をしている。

 ボディのレストアに関しては、当時の日産純正ボルトをあえて使うなど、さまざまな工夫をしながら、すべての作業が終わったのは、自分で部品の取り外しなどを始めてから約3年後のこと。その待ちの期間には、最終的な仕上げに必要となるパーツを集めに奮闘。ただ集めるだけではなく、一つひとつをきれいに磨き、パーツによってはあえて当時と同じメッキをかけたり、当時と同じシャシーブラックを塗ったりしている。ボディが完成したあとは、内装の作業に取りかかることで、この美しい状態を実現している。

ステンレス製マフラーがひときわ輝いて見えるほど、キレイな下回りなど【写真25枚】


1974年式 日産 スカイラインHT 2000 GT-X(KGC110)
SPECIFICATIONS 諸元
■エクステリア:ボディ総はく離レストア/イーストカー製フロントスポイラー/純正リアスポイラー
■エンジン:L28型改3.1L仕様/φ89mm鍛造ピストン/L20型用コンロッド/LD型用クランク/圧縮比12.2:1/9.5mmリフトカム/イスキー製強化スプリング/ニスモ製プーリー
■点火系:亀有製デスビ(固定進角)/MDI
■吸排気系:ソレックス44PHH(アウターベンチュリーφ38mm/亀有製等長スチールタコ足/ラバーソーウル製φ50mmステンレスデュアルマフラー
■冷却系:純正改3層ラジエーター/setrab製オイルクーラー
■駆動系:亀有製強化クラッチ/71Cミッション/DR30用R200LSD(ファイナル3.9)
■サスペンション:(F)スターロード製フルタップ車高調(バネレート8kg/mm)、(R)スターロード製ショック(バネレート18kg/mm)/ARC製リアスタビライザー
■ブレーキ:(F)S130Z用フロントキャリパー
■インテリア:永井電子製タコメーター/大森製メーター(油温、油圧、水温)/亀有製燃圧計/純正GT用シート(リバイブジャロピーにて張り替え)
■タイヤ:(F)ダンロップDZ101 205/50R15、(R)ブリヂストン・ポテンザRE-01 225/50R15
■ホイール:RSワタナベ(F)15×9J、(R)15×10.5J


【3】に続く



ヘッドカバーは黒の結晶塗装仕上げ。ちなみに、ピストンは亀有製で、コンロッドはL20型用、クランクはLD型用を使っている。デスビは亀有製をセットし、点火系も強化済み。





キャブレターはソレックス44PHHで、タコ足は亀有製のスチール製等長をセット。タコ足にはキャブのパーコレーション対策のため、熱の放射を防ぐバンテージが巻かれている。





駆動系には亀有製強化クラッチとDR30スカイライン用LSDをセット。ミッションは71Cを搭載していて、デフのファイナルギアは3.1L化によってトルクがあることから3.9を選択している。



初出:ノスタルジックスピード 2015年11月 Vol.008 (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1974年式 日産 スカイラインHT 2000 GT-X(全3記事)

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text:SHIOMI MAKOTO/塩見 誠 photo:RYOTA-RAW SHIMIZU/清水良太郎

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