20代のころから憧れていたクルマ、復活へ! 固着したサイドシールを取り出す| 1969年式 マツダ ルーチェ ロータリークーペ デラックス Vol.3

13A型を搭載したハイウェイの貴公子。

       

レストアにあたって苦労したのは、やはりエンジン関係

【 1969年式 マツダ ルーチェ ロータリークーペ デラックス Vol.3】

【2】から続く

 今回紹介する1969年式ルーチェロータリークーペ デラックスは、約4年の歳月をかけて、オーナーがレストアを施した1台。

 20代のころから憧れていたクルマで、念願かなって購入したのは08年7月。レストアを前提にしていたので不動車だったそうだ。その後、部品取り車を入手し、10年からレストアをスタートした。

 レストアにあたって苦労したのが、やはりエンジン関係で、オーバーホールするにしても、13A型エンジンはルーチェロータリークーペにしか搭載されていないため、他のロータリーエンジンとの部品の互換性は皆無で、純正部品の供給も絶望的な状態。そこで、OHにあたっては、ベース車と部品取り車のエンジンのいいとこ取りとし、それぞれの部品を徹底的にチェック。状態のよいそれぞれのフロントとリアのハウジングを使うことにし、まさに2個イチで製作することになった。

 また、サイドハウジング、センターハウジングは研磨して再生することができたが、ローターに装着されているサイドシールが固着しており、再使用が不可能な状態になっていた。しかし、サイドシールがそのままではエンジンは完成しない。そこで、サイドシールにオイルをさしながら、熱を加えたりしつつ、根気よく作業を続け、何とかサイドシールを取り外すことに成功。そのかいあって、貴重な13A型エンジンは快調そのもので、ストレスなく7500rpmまで回るそうだ。

 外装は純正色のムーンライトイエローで全塗装し、内装もシートの張り替えなどを行い、現在の状態に完成したのが、今年の春。それ以降、快調に各地のイベントに出向いているそうだ。


レストアは苦労しましたが、若いころから憧れてました。/OWNER’S VOICE



「20代のころから憧れていたルーチェロータリークーペを手に入れて、今年の春にようやく動かせるまでレストアしました。レストア用の部品取り車がスーパーデラックスでもったいなかったですが、ボディの状態はデラックスのほうがよかったです」と満足気に話すオーナー。仕上がりは上々で、各地のイベントに自走で参加しているそうだ。また、7年前に建てたというガレージには、コスモスポーツ、ホンダS600、レストア中のマツダ110S(輸出仕様)が納められていて、リフトも完備する。


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オーナーの手元にあるロータリーハウジングを並べてもらった。左から13B(20B)型、10A型、13A型で、13A型だけハウジング、ローターのサイズが大きい。そのため、10A、13B型とパーツの互換性はほとんどない。

苦労してオーバーホールされた貴重な13A型エンジンが納まるエンジンルームなど【写真23枚】



1969年式 マツダ ルーチェ ロータリークーペ デラックス(M13R)
SPECIFICATIONS 諸元
全長 4585mm
全幅 1635mm
全高 1385mm
ホイールベース 2580mm
トレッド前/後 1330/1325mm
最低地上高 185mm
室内長 1605mm
室内幅 1355mm
室内高 1095mm
車両重量 1185kg
乗車定員 5名
最高速度 190km/h
登坂能力 29°16′
最小回転半径 5.3m
エンジン型 13A型
エンジン種類 2ローターロータリー
総排気量 655×2cc
圧縮比 9.1:1
最高出力 126ps/6000rpm
最大トルク 17.5kg-m/3500rpm
変速比 1速 3.727/2速 2.176/3速 1.391/4速 1.037/後退 3.727
最終減速比 3.900
燃料タンク容量 65L
ステアリング形式 ラック&ピニオン
サスペンション前/後 ダブルウイッシュボーン・トーションラバー)/セミトレーリングアーム(コイルスプリング)
ブレーキ前/後ディスク リーディング&トレーリング
タイヤ前後とも 165HR15
発売当時価格 145万円


初出: ノスタルジックヒーロー 2014年 12月号 Vol.166(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1969年式 マツダ ルーチェ ロータリークーペ デラックス(全3記事)

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photo : RYOTA-RAW SHIMIZU/清水良太郎

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