RX87専用に開発された2ローターエンジンとは?| 1969年式 マツダ ルーチェ ロータリークーペ デラックス Vol.2

先に発売されていたルーチェセダンをベースに、2ドアクーペボディとなったロータリークーペ。リア回りのイメージはセダンを踏襲しているが、レンズ類なども専用品が採用されていた。

       

日本初となる三角窓がないハードトップボディ

【 1969年式 マツダ ルーチェ ロータリークーペ デラックス Vol.2】

【1】から続く

 翌1968年の「第15回東京モーターショー」の会場にもRX87は出展された。その際、日本初となる三角窓がないハードトップボディに注目が集まった。そして、ほぼそのままのスタイルで1969年10月に発売を開始。スーパーデラックスが175万円、デラックスが145万円の2グレードが設定された。

 搭載されたエンジンは、RX87専用に開発された2ローターの13A型。コスモスポーツやファミリアロータリーに搭載された10A型より、ローターの外径、ハウジングの内径が大きく、排気量は655cc×2となり、最高出力126ps、最大トルク17.5kg‐mを発揮。しかも、マツダ車としては初となる前輪駆動を採用しているのも大きなポイント。現在にいたるまで、マツダの前輪駆動のロータリーエンジン搭載車は発表されておらず、はからずも、このルーチェロータリークーペが最初で最後のFFロータリーとなっているのだ。

1969年式 マツダ ルーチェ ロータリークーペ デラックス(M13R)
SPECIFICATIONS 諸元
全長 4585mm
全幅 1635mm
全高 1385mm
ホイールベース 2580mm
トレッド前/後 1330/1325mm
最低地上高 185mm
室内長 1605mm
室内幅 1355mm
室内高 1095mm
車両重量 1185kg
乗車定員 5名
最高速度 190km/h
登坂能力 29°16′
最小回転半径 5.3m
エンジン型 13A型
エンジン種類 2ローターロータリー
総排気量 655×2cc
圧縮比 9.1:1
最高出力 126ps/6000rpm
最大トルク 17.5kg-m/3500rpm
変速比 1速 3.727/2速 2.176/3速 1.391/4速 1.037/後退 3.727
最終減速比 3.900
燃料タンク容量 65L
ステアリング形式 ラック&ピニオン
サスペンション前/後 ダブルウイッシュボーン・トーションラバー)/セミトレーリングアーム(コイルスプリング)
ブレーキ前/後ディスク リーディング&トレーリング
タイヤ前後とも 165HR15
発売当時価格 145万円


「RX87」のエンブレムが装着されたドア後方など【写真23枚】



エンジンルームには、苦労してオーバーホールされた貴重な13A型エンジンが納まる。ロータリーエンジン本体は、ほぼフロントオーバーハングに納まるほどコンパクトだ。





13A型エンジンはタテ置きで、ミッションもFRと同様だが、ミッションの前側にデフが組み込まれて駆動する仕組み。ミッションの上にラック&ピニオンが置かれ、フレームの上側を通る。





フロントの足回りは、コイルスプリングではなくラバースプリングを採用したウイッシュボーン形式で、快適な乗り心地を実現した。中央に見えるシャフトは、前輪駆動用のドライブシャフトだ。

【3】に続く



初出: ノスタルジックヒーロー 2014年 12月号 Vol.166(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1969年式 マツダ ルーチェ ロータリークーペ デラックス(全3記事)

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photo : RYOTA-RAW SHIMIZU/清水良太郎

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