実現への重圧にもがき苦しむ苦悩の日々|S30Zスポーツワゴン再現プロジェクト 前編  Vol.4

2013年9月に、1978年式280Z 2by2を手に入れ、ようやく実車による造形検討を開始。松尾さんのアドバイスもあり、ルーフを下げる方向で進めることにする。

       
【S30Zスポーツワゴン再現プロジェクト 前編 Vol.4】

【3】から続く

誰も見たことのないZワゴン、形にするための苦悩の日々

 帰国した松尾さんと畑中さんは、Zワゴン実現に向けてさっそく行動を開始した。後日、畑中さんは自社のワークショップに松尾さんを招き、Zワゴンのフォルムのヒントとなる原寸大のスケッチを製作した。実車のZ 2by2のボディに半透明のプラボードをあて、全体のバランスを見ながら、松尾さんの頭の中に今なお鮮明に残っているZワゴンのフォルムを、慎重にトレースしていったのだ。

 畑中さんはこれをていねいに梱包し、ロサンゼルスの安宅さんの会社に送った。松尾さんからのバトンは、安宅さんに託された。

 その安宅さんは、自分が言い出したプロジェクトではあるものの、実現への重圧にもがき苦しんでいた。製作に協力してくれる板金塗装や整備、内装製作などのスタッフを選定、ベース車両の調達などで、思いのほか時間がかかり、ほぼ1年を費やしてしまった。2013年8月、東海岸のニューハンプシャー州ナシュアで開催されたZカー・コンベンションへ行く前に、松尾さんはロサンゼルスを再訪。

 そこで安宅さんと再会する。だが、まだベース車両も購入していない現状を知らされると、松尾さんは寂しそうな表情で言った。
「ワゴンを造りたいという、気持ちだけ持っていればいいんじゃないかな」




角材とダンボールでルーフのラインを出す。




松尾スケッチの再現を目指す。後端には小さなノッチを付ける。





塗装をするとこんな感じ。


延長して対応するため、部品取り車から取り外して溶接したルーフパネルなど【写真44枚】


【5】に続く


初出:ノスタルジックヒーロー 2014年8月号 Vol.164(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

S30Zスポーツワゴン再現プロジェクト 前編(5記事)

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text : NOSTALGIC HERO/編集部 photo : YOSHIHIKO MATSUO/松尾良彦 TSUGUYA JAY ATAKA/安宅二弥 MOTOR MAGAZINE LTD./モーターマガジン社 MASAYUKI INOUE/井上雅行(image sketch/matsuo Z wagon)

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