「今までそんなクルマを造りたいなんて言った人間に出会ったことがないな。じゃあ造ったらどうだ」|S30Zスポーツワゴン再現プロジェクト 前編  Vol.3

半透明のプラボードに松尾さんがスポーツワゴンのフォルムをスケッチ。

       
【S30Zスポーツワゴン再現プロジェクト 前編 Vol.3】

【2】から続く


 S30Zは発売当初から爆発的な勢いで注文が舞い込み、すぐに生産が間に合わなくなり、バックオーダーを抱える事態となった。松尾さんによると社内ではクーペボディ以外の派生仕様もいくつか考案。だが生産現場となった日産車体の工場では、クーペの納期を間に合わせるだけで精一杯で、派生仕様を造る余裕など、まったくなかったという。

 そんな状況だったが、レース仕様のために開発したGノーズは240ZGとして市販。タルガトップは試作車まで完成し、グランドツーリングカーとして4人乗りにした2by2は、一度お蔵入りした後、復活して世に送り出された。

 コンバーチブルはメーカーとして市販には至らなかったが、カスタムカーとして存在。そうした中、Zのワゴンは早い段階で派生仕様としての候補から落とされ、スケッチだけで終わっていた。つまり実車は誰も見たことがなかったのだ。それを聞いた安宅さんは、その場で「自分が造りたい」と宣言。

「今までそんなクルマを造りたいなんて言った人間に出会ったことがないな。おまえ、面白いこと言うじゃないか。じゃあ造ったらどうだ」
 と松尾さん。それから3人は思いつくまま競ってZワゴンのアイデアを出し合い、7時間のドライブは興奮のままに過ぎ去った。





ダットサンフリーウェイのワークショップで、実車のZ 2by2を使い、ワゴンのフォルムのヒントとなるスケッチを描く。その前にボディをしっかりと養生する。





松尾さんの真剣な表情を見よ。




1966年当時のイメージと同様、リアクオーターウインドーが大きいスケッチを描き上げた。


ようやく実車による造形検討を開始など【写真44枚】


【4】【5】に続く


初出:ノスタルジックヒーロー 2014年8月号 Vol.164(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

S30Zスポーツワゴン再現プロジェクト 前編(5記事)

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text : NOSTALGIC HERO/編集部 photo : YOSHIHIKO MATSUO/松尾良彦 TSUGUYA JAY ATAKA/安宅二弥 MOTOR MAGAZINE LTD./モーターマガジン社 MASAYUKI INOUE/井上雅行(image sketch/matsuo Z wagon)

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