市販車世界初! オールアルミボディ|1994年式 ホンダ NSX Vol.2

運動性能のために生まれたデザイン。MRレイアウトはフロントが軽くなるため、空力の中心点を後方に寄せることが必須。風圧の中心を車体の重心位置に近づけるためにテールエンドを長くしている。

       
REカーとライバルたち【1994年式 ホンダ NSX Vol.2】

ミッドシップレイアウトと徹底的な軽量化による「本格的スポーツカー」

【1】から続く

 NSXの開発が始まったのは、第2期F1活動のスタートと時を同じくする1983年。当初は前述のような明確な理由付けはなく、技術者たちの「1台くらいは『本格的なスポーツカー』を造りたい」という熱意からスタートしたそうだ。「本格的スポーツカー」というからには、卓越した運動性能を誇示しなくてはならない。それを手にするためにホンダは2つの方向性を決定した。ひとつはミッドシップレイアウト、もうひとつは徹底的な軽量化だ。

 ミッドシップレイアウトは、重心を低くし、優れた前後重量バランスをもたらす。ポルシェやフェラーリがそれを証明しているように、本格スポーツカーにとっては必要不可欠な要素なのだ。しかし、FF車ばかり造ってきたホンダにとって、このレイアウトは未知の領域。にもかかわらず、チャレンジするのがホンダらしい。そして、走る・曲がる・止まるという基本的な運動性能を高めるために、もっとも効果的なのは軽量化だ。それを実現するために、ホンダは世界で初めて市販車のオールアルミボディを造り上げたのだ。

スーパーカーの証しとも言えるリトラクタブルヘッドライトなど【写真20枚】


【3】に続く





スポーツカーだからこそドライブに集中しながらも確実に操作できるように、人間工学に基づいてレイアウトされたコクピット。





スカッフプレートには製造番号が刻印される。この特別な演出がオーナーの所有欲を満たす。



1994年式 ホンダ NSX(NA1)
SPECIFICATIONS 諸元
全長×全幅×全高(mm) 4430×1810×1170
ホイールベース(mm) 2530
トレッド前/後(mm) 1510/1530
車両重量(kg) 1350
エンジン型式 C30A型
エンジン種類 V型6気筒DOHC
総排気量(cc) 2977
ボア×ストローク(mm) 90.0×78.0
圧縮比 10.2:1
最高出力(ps/rpm) 280/7300
最大トルク(kg-m/rpm) 30.0/5400
変速比 1速 3.071/2速 1.952/3速 1.400/4速 1.033/5速 0.771/後退 3.186
最終減速比 4.062
ステアリング形式 ラック&ピニオン
サスペンション ダブルウイッシュボーン(前後とも)
ブレーキ ベンチレーテッドディスク(前後とも)
タイヤ前・後 205/50ZR15・225/50ZR16
発売当時価格 830.7万円



初出:ハチマルヒーロー 2013年11月号 Vol.23(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1994年式 ホンダ NSX(全3記事)

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text : Rino Creative/リノクリエイティブ  photo : MOTOSUKE FUJII(SALUTE)/藤井 元輔(サルーテ)

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