S30Zに17インチのレイズボルクTE37Vと4輪ディスク。約2年を要した製作期間|1974年式 フェアレディZ Vol.3|オトナのフェアレディZスタイル

230セドリックやGX61チェイサーを経て、憧れのクルマを手に入れた板橋栄一さん。約2年かけて自分好みのS30Zが完成しただけに、喜びは計り知れないものだろう。

       
【1974年式 フェアレディZ Vol.3】

Vol.2から続く

 また、板橋さんにはいくつかのこだわりがあった。ひとつは、「シブめでシックにカッコよく」ということ。チューニングカーだからといって、あまりにもハデなクルマにはしたくなかったのだ。こうしたオーナーの考えは、内外装のいたるところに反映されている。エクステリアはS30Zでは珍しいガンメタで落ち着いた装いとし、ホイールも同系色でコーディネート。一方インテリアは、レカロ製のバケットシートはブラック単色を選び、追加メーターなどもいたずらに付けるのではなく、純正の位置にキレイにインサートするような手法がとられている。

 さらに、「新しいものを積極的に取り入れる」ということもオーナーのこだわりだ。オーバーフェンダーやスポイラーといった部分にカーボンアイテムをあしらったり、旧車にはあまり馴染みの無いF1タイプのドアミラーをチョイスしたりと、旧車だからといってクラシカルなスタイルを貫くという考えではなく、新しいもので感性が合うモノはドンドン取り入れ、最終的にカッコよく仕上げるというのが、板橋さんが思い描くS30Zのスタイルだ。



レカロシートやエアコンユニットなども装備されつつ、シックかつシンプルにまとめられたインテリアなど【写真16枚】

 また、当初から考えていたのが、17インチホイールの装着と、4輪ディスク化。S30Zといえば、最近では大径ホイールを装着するユーザーも増えてきたが、まだまだ15もしくは16インチが主流。しかし板橋さんは、最初から17インチ装着を決めており、ボルクレーシングTE37Vをチョイス。「絶妙な車高とシックなボディカラーにマッチし、上質感さえ感じられる」というのが選んだ理由だ。また、4輪ディスク化も最初から考えていたプラン。ただ、ストリートユースということで、オーナーは高価なブレンボなどを使わず、R32タイプM純正の4ポットキャリパーで十分と判断。コストを抑えることも忘れてはいないのだった。

 こうして板橋さんの要望が盛り込まれたS30Zは、完成までに約2年の年月を要したという。2年と聞くと長いと感じるが、ボディをイチから作り上げ、エンジンや足回り、室内と、各部を納得のいくまで仕上げるのだから、けっして長い期間ではないだろう。そしてクルマが出来上がったのは、なんと撮影日の前日。そのため、オーナーが完成した愛車を目にするのはこの日が初めて。まだ細かい部分の処理やエンジンのセッティングが終わっていないため納車とはならないが、板橋さんがこのS30Zのシートに収まり、最高の気分で走り回る日も近いはずだ。


OWNER/板橋栄一さん

 230セドリックやGX61チェイサーを経て、憧れのクルマを手に入れた板橋栄一さん。約2年かけて自分好みのS30Zが完成しただけに、喜びは計り知れないものだろう。

 ご家族で取材場所に登場した板橋さん一家。奥様は板橋さんが昔からクルマ好きなのを理解しており、とても協力的だという。また、息子さんは、中学生の頃からサーキットなどに連れて行ってもらってたということもあり、クルマ好きに。2シーターなので家族で乗ることは不可能だが、納車されたあかつきには存分にドライブを楽しんでいただきたい。

Vol.4に続く

1974年式 フェアレディZ(S30)
SPECIFICATIONS 主要諸元
■エクステリア:亀有製フロントスポイラー、カーボンフェンダー、カーボンリアスポイラー/FRPボンネット/カーボン製ドアミラー/IPF製ヘッドライト
■エンジン:L28型改3L(300ps仕様)/オートサービスワタナベ製φ89mmピストン、L28型用クランク改(ケツ切り、バランス取り加工)/オリジナルI断面コンロッド/ニスモ製メタル/ヘッド面研&オリジナル燃焼室加工(圧縮比12.0)、オリジナルカムシャフト(75度、9.2mmリフト)、ビッグバルブ(INφ45mm、EXφ36.5mm)/イスキー製バルブスプリング、クロモリバルブリテーナー
■点火系:マロリー製デスビ/MSDイグニッションコイル
■吸排気系:ソレックス44PHH/オリジナル燃料配管、オリジナルφ45mmステンレスタコ足、φ75mmオールステンマフラー/レース用燃料ポンプ
■冷却系:オリジナル3層ラジエーター/アールズオイルクーラー
■駆動系:71Cミッション/亀有製スーパーシングルクラッチ/R200デフ+LSD(ファイナル、4.1)
■サスペンション:オリジナル車高調(F:7kg/R:5kg)、ピローテンションロッド、タイロッドエンド
■ブレーキ:(F)300mmベンチレーテッドローター+R32タイプM純正4ポットキャリパー、(R)S15純正ローター+キャリパー
■インテリア:レカロSR×2脚/MOMOステアリング/PLX製空燃比計/Defi製メーター(タコ、水温、油温、油圧)/4点式ロールケージ/バイザーレスワンオフルーフ/ビンテージエア製エアコン(オリジナル配管)/電動パワステ
■タイヤ:ダンロップ・ディレッツァDZ101 (F)215/45R17、(R)235/45R17
■ホイール:レイズ・ボルクレーシングTE37V (F)17×8.5J -6、(R)17×9J-15



初出:Nostalgic SPEED 2015年07月 Vol.007 (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)


1974年式 フェアレディZ(全4記事)

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text : Rino Creative/リノクリエイティブ photo : MOTOSUKE FUJII(SALUTE)/藤井元輔(サルーテ)

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