「子供たちには人気があるんですよ」もともと市販予定のないコンセプトカーだった1台|1987年式 日産 Be-1 キャンバストップ Vol.3|パイクカームーブメント

「ノスタルジック・モダン」というコンセプトのもと、キーワードをクルマのデザインに落とし込んだ結果のデザイン。

       
【1987年式 日産 Be-1 キャンバストップ Vol.3】

Vol.2から続く

 もともとBe‐1は市販予定のないコンセプトカーとして1985年の東京モーターショーに出展。そこで大反響を呼び、久米社長の鶴の一声で市販が決定されたという経緯を持つ。80年代に入ると、ターボエンジンの登場により性能競争の一途をたどった。

カタログやコンセプトブックはもちろん、ミニカーやキーホルダーなど、オーナーが収集しているさまざまなBe-1グッズなど【写真6枚】

 そのあまりに熾烈な争いに、一般ユーザーの間には疲労感が少なからずあったのではないか。そんな時代に突如として現れた、今までに出合ったことのない雰囲気を持つBe‐1。そのどこか素朴でホッとできる世界観に〝癒やし〟を求め、その存在を素直に受け入れたのだろう。そして日産は、新たな発想で生み出すクルマの可能性を確実に感じていた。

ノーマルルーフからキャンバストップへ、自身2台目のBe-1を満喫中/OWNER’S VOICE

 「若い世代の人は外車と勘違いする人が多いし、旧車に関心のある男性はほとんど興味を示してくれません。でも子供たちには人気があるんですよ」と話す漆間淳郎さん。じつは現在の愛車は、2台目のBe-1。というのも、以前もBe-1に乗っており、それはオニオンホワイトのノーマルルーフだった。しかし、キャンバストップへの強い憧れもあり、3年ほど前に乗り換えたという。

 少走行の物件に運良く巡り会えたものの、キャンバストップに破れがあったため、すぐさま張り替えを決意。そこで問題が発生。交換方法を知る人がいなくて、数カ所で断られたそうだ。その後、とある日産ディーラーで引き受けてもらったが、当時の資料などもないので、オーナー自ら修理書を探して持ち込み、直してもらったということもあったとか。

 ただ、そんな苦労があったからこそ、愛車への愛着はいっそう強くなったようだ。できる限り乗り続けたいと話しつつも、「実用性はありませんが、Be-1を電気自動車化したいですね」と壮大な夢を語ってくれた。




1987年式 日産 Be-1 キャンバストップ (BK10)
SPECIFICATIONS 主要諸元
全長×全幅×全高(mm) 3635×1580×1420
ホイールベース(mm)  2300
トレッド前/後(mm) 1365/1350
車両重量(kg)  710
エンジン型式  MA10S型
エンジン種類 直列4気筒SOHC
総排気量(cc) 987
ボア×ストローク(mm) 68.0×68.0
圧縮比 9.5:1
最高出力(ps/rpm) 52/6000
最大トルク(kg-m/rpm) 7.6/3600
変速比 1速2.826/2速1.542/3速1.000/後退2.364
最終減速比 3.889
ステアリング ラック&ピニオン
サスペンション前/後 ストラット/4リンク
ブレーキ前/後 ディスク/リーディングトレーリング
タイヤ 165/70R12(前後とも)
発売当時価格 144.8万円


初出:ハチマルヒーロー 2013年 8月号 Vol.022(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1987年式 日産 Be-1 キャンバストップ(全3記事)

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photo : MAKOTO INOUE/井上 誠 text : Rino Creative/リノクリエイティブ

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