Be-1 その誕生の秘密|1987年式 日産 Be-1 キャンバストップ Vol.1|パイクカームーブメント

丸型のヘッドライトやサイドウインカーレンズ、楕円形のフロントウインカーなど、「マル」にこだわったデザインのマスク。フロントバンパーは、鋼板と同時に焼き付け塗装が可能な樹脂「フレックスパネル」を世界で初めて採用。

       
【1987年式 日産 Be-1 キャンバストップ Vol.1】

肩の力を抜いて付き合える、心地良い道具感とナチュラル感

 性能が飛躍的に向上し、モアパワーを求めていた80年代半ば。そんなトレンドに見向きもせず、初代 日産 マーチをベースに作られた日産 Be-1。このクルマは時代を逆行したレトロなモデルなのか。いや、むしろ逆だ。Be-1は今までにない発想とコンセプトが生み出した最先端モデルだったのだ。

 1987年1月、Be‐1の1万台限定発売が発表された。先着販売方式が取られ、わずか2カ月で完売。しかし、その後も応募が後を絶たず、異例の事態を招く。3月某日、全国主要新聞に全面広告が打たれたのだ。そこには、Be‐1完売に対する〝お礼〟が当時日産代表を務めていた久米社長直筆でしたためられていたのだった。

「ノスタルジック・モダン」というコンセプトを落とし込んだデザインなど【写真7枚】

 そもそもBe‐1というクルマは、なぜ生まれたのか。これには日産が置かれていた立場が大きく関係している。当時の日産は販売不振にあえぎ、経営状態が悪化。それに伴い、マーチのフルモデルチェンジが先送りされた。このことで宙に浮いたのは開発陣だ。そこでデザイナー陣は新型車の自主開発をスタート。様々なアプローチからデザイン案が出され、社内コンペの結果、絶賛の声を集めたのが、Be‐1の原案だったのだ。このデザイン案は、アパレル関連のプランニング会社とタッグを組んでコンセプトを共同開発するという、新たな手法がとられていた。



Vol.2、Vol.3に続く


1987年式 日産 Be-1 キャンバストップ (BK10)
SPECIFICATIONS 主要諸元
全長×全幅×全高(mm) 3635×1580×1420
ホイールベース(mm)  2300
トレッド前/後(mm) 1365/1350
車両重量(kg)  710
エンジン型式  MA10S型
エンジン種類 直列4気筒SOHC
総排気量(cc) 987
ボア×ストローク(mm) 68.0×68.0
圧縮比 9.5:1
最高出力(ps/rpm) 52/6000
最大トルク(kg-m/rpm) 7.6/3600
変速比 1速2.826/2速1.542/3速1.000/後退2.364
最終減速比 3.889
ステアリング ラック&ピニオン
サスペンション前/後 ストラット/4リンク
ブレーキ前/後 ディスク/リーディングトレーリング
タイヤ 165/70R12(前後とも)
発売当時価格 144.8万円



初出:ハチマルヒーロー 2013年 8月号 Vol.022(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)


1987年式 日産 Be-1 キャンバストップ(全3記事)

関連記事:Be-1

関連記事:パイクカームーブメント

関連記事:パイクカー

photo : MAKOTO INOUE/井上 誠 text : Rino Creative/リノクリエイティブ

RECOMMENDED

RELATED

RANKING