F1と同じメカニズムを採用する高性能セダンを模索し登場した異色の空冷FF|1972年式 ホンダ 1300 クーペGT Vol.1|全日本保護指定旧車協会

複雑な曲線を描くフロントマスクの造形。ホンダのエンブレムも曲面に合わせた専用のパーツだ。

       
【1972年式 ホンダ 1300 クーペGT Vol.1】

 ホンダほど高性能イメージが定着している自動車メーカーはないだろう。このイメージを植え付けたのは、黎明期のホンダが積極的にモータースポーツに取り組んだことと無縁ではない。2輪は世界グランプリに、4輪は最高峰のF1に挑戦し、好成績を残している。そして「走る実験室」から多くの名車が生み出された。

 1962年、オートバイの分野で世界を席捲したホンダは4輪業界への進出を表明している。そして軽4輪トラックのホンダT360を第一弾に、積極的に高性能モデルを送り出した。時計のように緻密なメカニズムと卓越した高性能に、クルマ好きは感嘆の声を漏らす。それは軽自動車のN360でも例外ではない。ライバルを圧倒する高性能を武器に、瞬く間に軽自動車のベストセラーになっている。



 この好調を追い風に、ホンダはFF方式を採用する高性能ファミリーカーの開発に乗り出した。しかもただのセダンではない。F1と同じメカニズムを採用する高性能セダンを模索したのだ。当時、ホンダは画期的な空冷120度V型8気筒エンジンを開発し、F1のRA302に搭載している。このノウハウを結集して開発されたのが、異色の空冷エンジンを積む4ドアセダン、ホンダ1300だった。

RSワタナベの8本スポークに1300標準の鉄ホイール用のセンターキャップを組み合わせたホイールなど【写真6枚】



Vol.2、Vol.3に続く

1972年式 ホンダ 1300 クーペGT
SPECIFICATIONS 主要諸元
全長 4160mm
全幅 1495mm
全高 1320mm
ホイールベース 2250mm
トレッド前/後 1245/1195mm
最低地上高 175mm
車両重量 905kg
乗車定員 5名
登坂能力tanθ 0.44
最小回転半径 4.8m
エンジン型式 H1300E型
エンジン種類 空冷4気筒SOHC
総排気量 1298cc
ボア×ストローク 74×75.5mm
圧縮比 9.0:1
最高出力 95ps/7000rpm
最大トルク 10.5kg-m/4000rpm
最高速度 175km/h
燃料タンク容量 40L
ステアリング形式 ラック&ピニオン式
サスペンション前/後 マクファーソン型独立懸架/クロスビーム型独立懸架
ブレーキ前/後 ディスク/ドラム
タイヤ前後とも 6.2H13-4PR
発売当時価格 67.3万円


初出:ノスタルジックヒーロー 2014年8月号 Vol.164(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1972年式 ホンダ 1300 クーペGT (全3記事)

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text : HIDEAKI KATAOKA/片岡 英明 photo : MINAI HIROTAKA/南井浩孝

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