ラジエターはどこにあるでしょうか?|1962年式 日野 コンテッサ 900 デラックス Vol.2|セダンの神髄

内外装の装備が豪華な高級グレードのデラックス。

       
【1962年式 日野 コンテッサ 900 デラックス Vol.2】

Vol.1から続く

ルノー公団との蜜月。しかし、技術提携の期限切れの時期が近づいていた

 日野はルノーの生産を通してヨーロッパ流のクルマ造りを学んだ。ルノー公団との蜜月は続いたが、技術提携の期限切れの時期が近づいていたので、日野ルノーの後継モデルの開発に乗り出している。独自技術を採用した最初の作品は、前輪駆動のワンボックス商用車、コンマースだ。だが、メカニズムが複雑で、信頼性も低かったので次に出す予定のファミリーカーには、ルノー4CVと同じリアエンジン、リアドライブを採用することを決めた。

 1961年4月、日野は純粋に自社の技術力だけで開発した乗用車、コンテッサ900を市場に放っている。ボディサイズはルノー4CVに近いが、シルエットは大きく違う。伸びやかな3ボックスデザインを採用し、リアエンドには流行したテールフィンの名残も見られた。ルノー4CVよりもエレガントな顔立ちで、ボディサイドにはクロームメッキが効果的に使われている。ボディカラーも豊富に用意された。

 キャビンはルノー4CVより広く、快適だ。後席に大人3人が無理なく座ることができた。ドアガラスも上から下まで昇降する。フロントにあるトランクスペースも思いのほか広い。
 エンジンは日野が独自開発した水冷の直列4気筒OHVだ。型式は「GP20型」と名付けられている。ロングストローク設計のエンジンで、排気量は893ccだった。これにソレックスタイプのキャブレターを1基装着し、圧縮比は8としている。最高出力は35㎰/5000rpm、最大トルクは6.5kgm/3200rpmだ。

当時流行していたテールフィニッシュや、リアに搭載された水冷直列4気筒OHVのGP20型エンジンなど【写真9枚】




Vol.3に続く

1962年式 日野 コンテッサ 900 デラックス(PC10)
SPECIFICATIONS 主要諸元
全長 3795mm
全幅 1475mm
全高 1415mm
ホイールベース 2150mm
トレッド前/後 1210/1200mm
最低地上高 205mm
室内長 1600mm
室内幅 1230mm
室内高 1175mm
車両重量 750kg
乗車定員 5名
最高速度 110km/h
登坂能力sinθ 0.33
最小回転半径 4.3m
エンジン型式 GP20型
エンジン種類 水冷直列4気筒
総排気量 893cc
ボア×ストローク 60×79mm
圧縮比 8.0:1
最高出力 35ps/5000rpm
最大トルク 6.5kg-m/3200rpm
変速比 1速 3.70/2速 1.81/3速 1.07/後退 3.70
最終減速比 4.62(37/8)
燃料タンク容量 32L
ステアリング形式 ラックおよびピニオン式
サスペンション前/後 コイル・スプリング
ブレーキ 足/手油圧式-内部拡張/機械式-内部拡張
タイヤ前後とも 5.50-14-2PR
発売当時価格 58万5000円


初出:ノスタルジックヒーロー 2014年8月号 Vol.164(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1962年式 日野 コンテッサ 900 デラックス (全3記事)

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text : HIDEAKI KATAOKA/片岡英明 photo : MAKOTO INOUE/井上 誠

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