ボルトまですべて日本製に! タバコのピースのパッケージと同じ人物がデザインした国産車|1964年式 いすゞ ヒルマン ミンクス スーパーデラックス Vol.3|セダンの神髄

エクステリアデザインを手がけたのは、50年代のスチュードベーカーもデザインしたレイモンド・ローウィーだ。

       
【1964年式 いすゞ ヒルマン ミンクス スーパーデラックス Vol.3】

Vol.2から続く

ヒルマンミンクスは、1957年10月に純国産化を達成した

 エクステリアデザインを手がけたのは、タバコのピースのパッケージデザインを手がけ、50年代のスチュードベーカーもデザインしたレイモンド・ローウィーだ。優美なフロントマスクや大きく回り込んだCピラーとリアウインドーなど、すべてが気品あふれるデザインになっている。



 エクステリアだけでなく、センターメーターを採用したインテリアも美しい仕上がりだった。水平基調のダッシュボードの中央に、台形のメータークラスターを据え、その下にラジオや時計を配している。センターメーターを採用したのは、右ハンドル車でも左ハンドル車でも作りやすいようにしたためだ。ステアリングのホーンリングやメーターリングは上品なクローム仕上げだ。外観と同じような、2トーンの色使いもオシャレだった。

 エンジンは、初代ヒルマン最終型に積まれていたGH12型を発展させたGH100型水冷直列4気筒OHV。トランスミッションは、コラムシフトの4速マニュアルを組み合わせている。

 ヒルマンミンクスは、毎年のように日本製パーツを増やしていき、1957年10月に100%、つまり純国産化を達成した。予定を1年前倒しし、ボルトまですべて日本製になったのだ。59年には排気量を1494ccに拡大したGH150型エンジンを搭載している。

 1963年2月に最終型が登場したが、このときにデラックス系は70㎰/11.2kg-mにパワーアップした。生産を終了するのは1964年6月である。10年半の間に6万7700台あまりが世に出たが、その9割を占めたのは2代目だ。日本の景色にも似合ったヒルマンミンクスは真の名車と言えるだろう。

最終型の証しとなる3分割テールランプなど【写真8枚】



1964年式 いすゞ ヒルマン ミンクス スーパーデラックス(PH50型)
SPECIFICATIONS 主要諸元全長 4140mm
全幅 1543mm
全高 1510mm
ホイールベース 2438mm
トレッド前/後 1245/1232mm
最低地上高 195mm
室内長 1780mm
室内幅 1290mm
室内高 1240mm
車両重量 1065kg
乗車定員 6名
最高速度 128km/h
登坂能力sinθ 0.346
最小回転半径 5.22m
エンジン型式 GH150型
エンジン種類 水冷直列4気筒OHV
総排気量 1494cc
ボア×ストローク 79.0×76.2mm
圧縮比 8.5:1
最高出力 70ps/5000rpm
最大トルク 11.2kg-m/2200rpm
変速比 1速 3.19/2速 2.47/3速 1.49/4速 1.00/後退 4.04
最終減速比 4.778
燃料タンク容量 33L
ステアリング形式 ウオームローラー式
サスペンション前/後 ウイッシュボーン・コイル/リジッド・リーフ
ブレーキ前後とも ドラム
タイヤ前後とも 5.60-15-4P
発売当時価格 84万円



初出:ノスタルジックヒーロー 2014年8月号 Vol.164(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1964年式 いすゞ ヒルマン ミンクス スーパーデラックス (全3記事)

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text : HIDEAKI KATAOKA/片岡英明 photo : MAKOTO INOUE/井上 誠

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