専用パーツとS20型エンジンを組み込んだ特別な Z 2

Z432に付いている前後のバンパー角にあるラバーがZ432-Rでは付かない。ライトカバーは当時のオプションパーツ。

日産 フェアレディZ432-R

 1969年末から70年初頭に、当時モータースポーツ専用車として売り出されたZ432-R。竹内さんの個体も自動車検査証に記載された初度登録年月が昭和47(1972)年8月となっており、その間の2年ほどの素性は今となっては分からない。だが、現代に生き残っている、本当に貴重な個体であることに変わりはない。

 70年代後半に入り、ちょうど排ガス規制が厳しくなってきた時期。ライトウェイトスポーツが好きだった竹内さんにとっては、欲しいクルマが見つからない状況だった。エンジンを改造することもままならないわけで、ならば最初からパワーのあるエンジンを積んでいるクルマを探そうと、考え方を改めた時期でもあったのだ。

「Z432やGT-Rなど、S20型エンジンを積んだクルマは高嶺の花で、自分の収入ではTE27レビン&トレノが限度だと思っていました。でもたまたま出合ってヨンサンニ・アールを買うことができた。相当無理をしましたが、手に入れた後は、Zにどっぷりとはまってしまいましたね」

 どこが一番気に入っているかをたずねたところ「S20型エンジン全体から発するサウンドと加速感。もう別格ですね」という答えが返ってきた。それにほれ込み、高速道路をカッ飛ばしながら至福の時を楽しむ竹内さん。そのスタイルはこれからも続く。


フェアレディZ432-R 前正面
フロントグリルのほぼ中央に、薄く銀色に光っているのが、Z432-Rに標準装着されるエンジンオイルクーラー。
PGC10レース用オプションと性能的には同じ物が付く。


フェアレディZ432-R 後ろ正面
標準で燃料タンクが100Lなので、バンパーの下にタンクが張り出しているのが特徴となっている



フェアレディZ432-R インパネ
モータースポーツのベース仕様のため、快適装備がことごとく省かれているインパネ回り。例えば、ベンチレーター&ヒーター、ラジオ、時計、グローブボックスのふたなど、多岐にわたる。ステアリングは「裏」マッハを装着。


フェアレディZ432-R メーター
タコメーターは7800rpmからレッドゾーンとなる。



フェアレディZ432-R 燃料計
燃料計のFの文字の下には、100Lタンク装着を示す「100L」の文字が小さく入っている



フェアレディZ432-R キー

キーシリンダーがシフトノブの後ろ側に移設されているのが432-Rの特徴

フェアレディZ432-R ドア
左右のドアトリムは軽量化のため簡素な専用品で、アームレストも付かない。


フェアレディZ432-R シート
左右のシートは、Z432-Rのオリジナルではブルーグレーの表皮材だが、型はそのままにレザーとファブリックのコンビで張り替えてある。オーナーは距離を走るので、一部が擦り切れることがあり、すでに数度張り替えているとか。シートベルトはシュロスを選択。


掲載:ノスタルジックヒーロー 2011年10月号 Vol.147(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

photo:Isao Yatsui/谷井功

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