ドーム加工されたシリンダーヘッド、新設計のピストン。排ガス浄化システム追加だけではない数多くの変更点|1976年式 日産 フェアレディ Z-L  Vol.2|フェアレディZの気概

特徴的な大型の2眼メーターを継承。スピードメーターは20km/h〜240km/hまで表示。最終型はフルスケール180km/hとなる。タコメーターは8000rpm表示のままである。

       
【1976年式 日産 フェアレディ Z-L Vol.2】

Vol.1から続く

 L20型水冷直列6気筒SOHCのエンジン内部にメスを入れるとともに、大がかりな排ガス浄化システムを組み込み、昭和50年排ガス規制をクリアした。排ガス浄化システムを導入しただけではない。SUツインキャブを廃し、これに代えて電子制御燃料噴射装置ニッサンEGI(50型)を装着したのである。

 ニッサンEGIを採用したことで、エンジンのシリンダーヘッドを改良。ウエッジ形の燃焼室は燃焼を改善するためにドーム加工を施し、CO(一酸化炭素)の低減を図っている。また、ピストンも新設計となり、トップ部が平らなキャブ仕様に対し、盛り上がった形状が採用された。当然、吸気側と排気側のマニホールドも新設計とした。

 排ガスの中に含まれているCOとHC(炭化水素)を酸化し、無害なCO2とH2Oに変化させるために触媒コンバーターを前席フロア下の排気系に装着している。また、発生する熱の対策のために、遮熱板とディフューザーも追加した。万一に備え、インパネの補助メーターの下に排気温度警告灯を新設したのもニュースのひとつだ。

 3速AT車には、排ガスの一部を吸気系に還流し、燃焼最高温度を下げてNOx(窒素酸化物)の発生を抑える排ガス還流装置(EGR)も装備した。ちなみにフェアレディZは76年7月に最後のマイナーチェンジを行うが、このときにMT車にもEGRを採用。ギアの位置によって点火進角をコントロールするTCSも装着するなどの努力により、さらに厳しい昭和51年排ガス規制を乗り切っている。

開閉式で、容量もそれなりにあるシート後方のフロアに設置されたラゲージボックスなど【写真9枚】



Vol.3に続く

【3】ご存知でした? 2シーターの車台番号はS30‐140001から|1976年式 日産 フェアレディ Z-L  Vol.3

1976年式 日産 フェアレディ Z-L(A-S30)
SPECIFICATIONS 主要諸元
全長 4115mm
全幅 1630mm
全高 1295mm
ホイールベース 2305mm
トレッド前/後 1355/1345mm
最低地上高 150mm
室内長 820mm
室内幅 1390mm
室内高 1075mm
車両重量 1115kg
乗車定員 2名
最高速度 190km/h
登坂能力tanθ 0.46
最小回転半径 4.8m
エンジン型式 L20型
エンジン種類水冷直列 6気筒SOHC
総排気量 1998cc
ボア×ストローク 78.0×69.7mm
圧縮比 8.6:1
最高出力 130ps/6000rpm
最大トルク 17.0kg-m/4400rpm
変速比 1速 3.321/2速 2.077/3速 1.308/4速 1.000/5速 0.864/後退 3.382
最終減速比 4.111
燃料タンク容量 65L
ステアリング形式 ラック&ピニオン
サスペンション 前後とも独立懸架ストラット・コイル
ブレーキ 前/後ディスク/リーディングトレーリング
タイヤ 前後とも6.45H14-4PR
発売当時価格 152.6万円


初出:ノスタルジックヒーロー 2014年10月号 Vol.165(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1976年式 日産 フェアレディ Z-L(全3記事)

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photo : RYOTA-RAW SHIMIZU/清水良太郎

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