悲劇のヒーロー。GT‐Rと同様に、レースで勝つことを約束させられていたZ432‐R。レースの主役の座は?|1972年式 日産 フェアレディZ 432-R Vol.2

リアエンドにはスポイラーが装備されている。ボディと同色ではなくつや消しのブラック塗装だ。

       
【1972年式 日産 フェアレディZ 432-R Vol.2】

Vol.1より続く

 エンジンはPGC10スカイラインGT‐Rから譲り受けたS20型水冷直列6気筒DOHC4バルブだ。ボア82.0mm、ストローク62.8mmで、総排気量は1989ccとなる。Z432も基本的には同じだが、エアクリーナーやダクトを取り外し、ソレックス40PHHキャブには各気筒にエアファンネルを装着した。また、ラジエーターの前にはオイルクーラーが追加された。

 サスペンションは引き締められ、ブレーキは踏力を軽減するマスターバックを取り外している。GT‐Rと同様にZ432‐Rは、レースで勝つことを約束させられていた。ところが、S20型エンジンはデリケートで、高回転を多用すると振動も出る。扱いやすさや耐久信頼性は、海外向けに開発した240Zのほうが勝っていたのである。また、240Zのほうが大排気量だからパワーとトルクでも差をつけられることになった。そのため、瞬く間にレースの主役の座を240Zに奪われてしまう。まさに、432‐Rは、悲劇のヒーローだったのである。

内張りをはぎ取り、鉄板むき出しになったフロアなど【写真7枚】




Vol.3に続く

1972年式 日産 フェアレディZ 432-R(PS30-SB)
SPECIFICATIONS 主要諸元
全長 4115mm
全幅 1630mm
全高 1290mm
ホイールベース 2305mm
トレッド前/後 1355/1345mm
最低地上高 165mm
室内長 835mm
室内幅 1390mm
室内高 1075mm
車両重量 960kg
乗車定員 2名
0→400m加速 15.8秒以下
最高速度 210km/h以上
登坂能力tanθ 0.462
最小回転半径 4.8m
エンジン型式 S20型
エンジン種類 水冷直列6気筒DOHC
総排気量 1989cc
ボア×ストローク 82.0×62.8mm
圧縮比 9.5:1
最高出力 160ps/7000rpm
最大トルク 18.0kg-m/5600rpm
変速比 1速 2.957/2速 1.858/3速 1.311/4速 1.000/5速 0.852/後退 2.922
最終減速比 4.444
燃料タンク容量 100L
ステアリング形式 ラック&ピニオン(16.4:1)
サスペンション 前後とも独立懸架ストラット・コイル
ブレーキ 前/後ディスク/リーディングトレーリング
タイヤ 前後とも6.95-14-4PR
発売当時価格 150万円


初出:ノスタルジックヒーロー 2014年10月号 Vol.165(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1972年式 日産 フェアレディ Z432-R(全3記事)

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text : HIDEAKI KATAOKA/片岡英明 photo : MOTOSUKE FUJII(SALUTE)/藤井元輔(サルーテ)

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