「私はノーマルにこだわっています。そのままのほうが運転しやすいし、クルマの傷みも少なく、維持しやすい」|1972年式 日産 フェアレディ 240ZG Vol.3|フェアレディZの気概

購入から現在まで、ずっとオリジナルの姿を維持している。

       
【1972年式 日産 フェアレディ 240ZG Vol.3】

Vol.2から続く

 取材車両のオーナーである井ノ上高利さんは、購入から現在までの約20年間、ずっとオリジナルの姿で乗り続けている。

「私はノーマルにこだわっています。そのままのほうが運転しやすいし、クルマの傷みも少なく、維持しやすい。でもホイールキャップは、今までに走っていて2度落としました(笑)」

 井ノ上さんにとって、この240ZGは生涯2台目となるZだそうで、最初は73年式Z‐Lを中古で購入。それに5年間で12万km乗ってから手放し、その後は趣味のクルマとして、1967年式ホンダS600を所有し続けている。

 奈良ヒストリックカークラブのメンバーでもある井ノ上さんは、ツーリングなどにS600で参加していたのだが、非力なために仲間たちの走りについていけないこともあって、思案に暮れていた。そんな時、地元で以前からその存在を知っていた240ZGとの縁ができ、オーナーと直接交渉の末、譲ってもらうことができた。

 予備パーツも揃え、この先、維持していくための準備は万端。しかし決して床の間の置物のような扱い方はせず、ふだんの生活の中で240ZGを使っている。年2回は奥さまと温泉旅行に遠乗りするし、少し離れた場所にある自分の畑へ行き、収穫した野菜をラゲージスペースに載せて帰ってくる。

「リアゲートが大きく開くから、畑に行くためのクルマとして、このZはちょうどいいんだよ」
 豪快に笑う井ノ上さん。自然体でクルマと接するオーナーとの生活を、きっとZも一緒に楽しんでいるはずだ。


L24型エンジンが鎮座するエンジンルームなど【写真9枚】




1972年式 日産フェアレディ240ZG(HS30H)
SPECIFICATIONS 主要諸元
全長 4305mm
全幅 1690mm
全高 1285mm
ホイールベース 2305mm
トレッド前/後 1355/1345mm
最低地上高 160mm
車両重量 1010kg
乗車定員 2名
最高速度 210km/h
登坂能力tanθ 0.467
最小回転半径 4.8m
エンジン型式 L24型
エンジン種類 水冷直列6気筒SOHC
総排気量 2393cc
ボア×ストローク 83×73.7mm
圧縮比 8.8:1
最高出力 150ps/5600rpm
最大トルク 21.0kg-m/4800rpm
変速機 O.D付前進5段・後退1段フルシンクロメッシュ式
変速比 1速 2.906/2速 1.902/3速 1.308/4速 1.000/5速 0.864/後退 3.382
最終減速比 3.900
燃料タンク容量 60L
ステアリング形式 ラックアンドピニオン式
サスペンション前後とも 独立懸架ストラット式コイルスプリング
ブレーキ前/後 ディスク式/リーディングトレーリング式
タイヤ 前後とも175HR-14
発売当時価格 150万円


初出:ノスタルジックヒーロー 2014年10月号 Vol.165(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1972年式 日産 フェアレディ 240ZG(全3記事)

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photo : RYOTA-RAW SHIMIZU/清水良太郎

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