ボロボロであっても「父なら直せる」。親子で仕上げたパブリカ最強グレード|1968年式 トヨタ パブリカ 800 スーパー Vol.3|痛快スポーツモデル

セダンタイプにおいてメーター類はスーパーのみタコメーター付きの3眼。コンバーティブルと共通のパーツだ。

       
【1968年式 トヨタ パブリカ 800 スーパー Vol.3】

Vol.2から続く

 オーナーの堀川憲生さんが、26歳という年齢ながらパブリカにハマったのは、堀川さんの父親で自動車板金工場社長でもある堀川一さんの影響が大きい。10代からパブリカ一筋という一さんのまわりには自然にパブリカ乗りが集まっており、憲生さんが1歳の頃、パブリカからパブリカへとつかまり立ちをしていたほど。

スーパーでは標準となるフロアシフトや、タコメーター付きの3眼メーターなど【写真7枚】

 そんな憲生さんは自動車免許を取ると工場を手伝いながら自分のクルマを探し始める。車種がパブリカであることはもちろん「どうしてもツインキャブに乗りたかった」という憲生さんは、数の少ないスーパーに絞って探していた。しかし見つけてきたクルマは板金屋の父をして「今まで見た中で最もひどいクルマ」と驚くほどボロボロだったという。床は抜け、ルーフにも穴が開き、リアフェンダーはほぼ存在していなかった。唯一の救いは内装。長年納屋に保管され続けた個体だったため、シートはもちろん、インパネにも欠落した部品はなかった。

 憲生さんは、クルマがどれほどボロボロであっても「父なら直せる」と安心していたという。休日に工場を使い、親子2人でレストア作業をおこなった。

 約10カ月後、パブリカは新車のような輝きを取り戻した。ただ、それ以上に父親と1台のクルマを仕上げた思い出は、得難いものだったに違いない。

堀川憲生(けんしょう)さん



お嬢さんと一緒なのが憲生さん。その隣が奥さま、そして右が父親の一さん。カメラ目線をばっちり決めた愛犬のゆずちゃん。


1968年式 トヨタ パブリカ800スーパー(UP20KS)
SPECIFICATIONS 主要諸元
●全長 3620mm
●全幅 1415mm
●全高 1380mm
●ホイールベース 2130mm
●トレッド前/後 1203/1160mm
●室内長 1570mm
●室内幅 1170mm
●室内高 1100mm
●車両重量 620kg
●乗車定員 4名
●最高速度 130km/h
●登坂能力sinθ 0.426
●最小回転半径 4.35m
●エンジン型式 2U型
●エンジン種類 空冷水平対向2気筒OHV
●総排気量 790cc
●ボア×ストローク83.0×73.0mm
●圧縮比 9.0:1
●最高出力 45ps/5400rpm
●最大トルク 6.8kg-m/3800rpm
●変速比 1速 4.200/2速 2.400/3速 1.550/4速 1.125/後退 4.333
●最終減速比 3.89
●燃料タンク容量 31L
●ステアリング形式 ウォーム・セクターローラー式
●サスペンション前/後 ウイッシュボーン・トーションバー/非対称半楕円板ばね
●ブレーキ前/後 リーディング/リーディングトレーリング
●タイヤ前後とも 6.00-12 4PR
●発売当時価格 43.2万円

初出:ノスタルジックヒーロー 2014年7月号 Vol.163(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1968年式 トヨタ パブリカ 800 スーパー(全3記事)

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photo : HIROTAKA MINAI/南井浩孝

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