豊田英二専務の指示で開発開始! 一般公募で決まった「パブリカ」という車名|1968年式 トヨタ パブリカ 800 スーパー Vol.1|痛快スポーツモデル

1968年2月にUP20パブリカとして最後のマイナーチェンジが施され、フロントグリルにT字のデザインアクセントが付いた。ワンオフしたライトカバーは、もともとの2カ所ではなく、4カ所でビス留め。

       
【1968年式 トヨタ パブリカ 800 スーパー Vol.1】

 1955年、日本の自動車産業に新たな展開があった。それは通商産業省(現・経済産業省)自動車課がまとめた「国民車育成要綱案(国民車構想)」の発表。かつてナチス・ドイツによって提唱され、フォルクスワーゲンの開発に成功し、世界中の注目をあびた国内産業推進政策だ。

光の加減で緑色にも見える美しい色合いのボディなど【写真7枚】

 国民車構想とは要件を満たす自動車開発に成功すれば、国が製造・販売を支援するというもの。国民車の条件は、4人乗車で100km/h走行が可能、60km/h走行で30km/Lの燃費、月産で3000台製造可能な内部構造、工場原価15万円で販売価格25万円以下、排気量350~500cc、壊れにくく1958年秋からの生産開始ができることだ。

 そうした動きのある中、トヨタでは豊田英二専務の指示により、発表された国民車構想要件よりひとまわり大きな小型乗用車の開発が始まっていた。

 だが、この小型車の開発が難航した。当初FFとして進めていた駆動形式も最終的にFRに変更。約6年の開発期間という新車開発として異例の年月をかけることとなった。そして、一般公募で決まったパブリック+カーの造語である「パブリカ」という車名とともに1961年6月、発売開始された。




Vol.2、Vol.3に続く

1968年式 トヨタ パブリカ800スーパー(UP20KS)
SPECIFICATIONS 主要諸元
●全長 3620mm
●全幅 1415mm
●全高 1380mm
●ホイールベース 2130mm
●トレッド前/後 1203/1160mm
●室内長 1570mm
●室内幅 1170mm
●室内高 1100mm
●車両重量 620kg
●乗車定員 4名
●最高速度 130km/h
●登坂能力sinθ 0.426
●最小回転半径 4.35m
●エンジン型式 2U型
●エンジン種類 空冷水平対向2気筒OHV
●総排気量 790cc
●ボア×ストローク83.0×73.0mm
●圧縮比 9.0:1
●最高出力 45ps/5400rpm
●最大トルク 6.8kg-m/3800rpm
●変速比 1速 4.200/2速 2.400/3速 1.550/4速 1.125/後退 4.333
●最終減速比 3.89
●燃料タンク容量 31L
●ステアリング形式 ウォーム・セクターローラー式
●サスペンション前/後 ウイッシュボーン・トーションバー/非対称半楕円板ばね
●ブレーキ前/後 リーディング/リーディングトレーリング
●タイヤ前後とも 6.00-12 4PR
●発売当時価格 43.2万円

初出:ノスタルジックヒーロー 2014年7月号 Vol.163(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1968年式 トヨタ パブリカ 800 スーパー(全3記事)

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photo : HIROTAKA MINAI/南井浩孝

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