オーテックがつくった純粋な限定車は3台|今では考えられない限定車たち Vol.1|THE限定車

オーテックは独自にチューンした日産車を数々リリースしてきた。

       
【今では考えられない限定車たち Vol.1】

いまだに記憶に残る強い個性

 今も昔も特別限定車は数多く登場している。しかし、販売戦略に重きを置いた現在と80年代のそれは別物。ハチマル世代の限定車は多くの自動車ファンを納得させひきつけてやまない、強い個性と夢に満ちていた。

200台限定発売であったスカイライン GTS AUTECH VERSION など【写真4枚】

 マニアならずとも心を引かれ、購買欲をそそられてしまうのが「限定バージョン」や「アニバーサリー」、「特別限定」などの言葉だ。この手のものは多くの商品に存在する。その最たるものは時計だろう。オメガやTAGホイヤー、ブライトリングなどからは毎年のように特別限定モデルが送り出されている。筆者も持っているが、自動車メーカーやレーシングドライバーなどとコラボした作品も少なくない。

 自動車の世界も同じだ。アルミホイールやステアリングなどの特別装備を盛り込み、ボディカラーや内装も専用としてプレミアム感覚を高めた特別限定車が、多くのメーカーから発売されている。その最初の作品はなんだろう。真っ先に思い浮かんだのは、レースのホモロゲーションを取得するために、1964年春に100台だけが限定生産され、発売に移されたプリンス自動車のスカイラインGTだ。

 また、ダイハツの軽自動車、フェローバギーも早い時期に誕生した特別限定車と言えるだろう。ハイゼットのメカニズムを用いた個性的なRVで、子ども心に乗ってみたいと思った。が、発売された当時、この2台の限定車は特殊なクルマだったから、その存在を知っている人はほとんどいない。

今でも人気を誇るオーテック

 日産党にとってオーテックは特別な存在。それは、スカイラインの育ての親、櫻井眞一郎さんが育て上げたからだ。オーテックは独自にチューンした日産車を数々リリースしてきた。そこに脈々と受け継がれているのは、「ユーザーの期待を超えるクルマを造る」というコンセプト。これはまさに、櫻井さんが歴代スカイラインでやり遂げてきたことと一致する。だからオーテックのクルマは、今でも絶大な人気を誇っているのだ。


HR31 SKYLINE GTS AUTECH VERSION



JN15 PULSAR SERIE VZ-R・N1



HP10 PRIMERA AUTECH VERSION


限定車のイメージが強いオーテックだが、純粋な限定車は少ない。そのひとつが200台限定のR31スカイラインで、1988年にリリース。また、プリメーラは1994年11月から3カ月の期間限定、パルサーセリエは1997年と1998年に計500台で発売。

Vol.2、Vol.3、Vol.4に続く


初出:ハチマルヒーロー 2013年5月号 Vol.021(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

今では考えられない限定車たち(全4記事)

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text : HIDEAKI KATAOKA / 片岡英明

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