妻と出会ったときに一緒に購入を決めた思い出のクルマ=R31が再び元気な姿を取り戻すために|1986年式 日産 スカイライン 2ドアクーペ オーテック S&Sバージョン ドリフトパッケージ Vol.3|THE限定車

これこそが櫻井さんの「最後まで作り込むことができなかったR31に手を加え、ひとつの回答として示したい」という理想が具現化されたクルマなのである。

       
【1986年式 日産 スカイライン 2ドアクーペ オーテック S&Sバージョン ドリフトパッケージ Vol.3】

Vol.2から続く

 櫻井さんの「ひとつの回答」として作られたR31が、世の中に数台だけ存在する。それがオーテックジャパンS&S部門で製作された「S&Sバージョン・ドリフトパッケージ」である。

 このパッケージは、コンプリートカーとして限定販売されたほか、車両持ち込みでの施工も行われ、取材車両は持ち込みでチューン。そして施工および販売は、オーテックジャパンS&S部門のスタッフとの面接のうえで決定された。ちなみに、取材車両の仕様のほかにも、ブリスターフェンダーやブレンボ社製ブレーキシステム、オールレザーシートなどのオプションが選べたほか、6速MTやセミATなども可能と当時の資料に記されており、さらなるカスタマイズも可能だったという。

当時の日産車に多く見られた直線基調のインパネなど【写真7枚】

 生産台数は、コンプリート、持ち込み合わせて5台といわれているが、現存するのはもっと少ないとのこと。櫻井さんの想いを後世に伝えるためにも、永遠に残していきたいスペシャルモデルといえるだろう。

思い出のR31が、再び元気な姿を取り戻すために


OWNER’S VOICE/大畑 茂さん

「このR31が初めての愛車なんです」と話す大畑茂さん。ワンオーナーの極上車であるR31スカイライン2ドアスポーツクーペGTS-Xツインカム24Vターボを手に入れたが、8年間で約16万kmを走行。トラブルが出始めたため、一時は買い替えを考えたという。

 しかし、奥様と出会ったときに一緒に購入を決めた思い出のクルマ。なかなか買い替えを決意できないとき、とある雑誌に載っていた“VG換装R31”の記事を発見。「また元気に走れるようになるのなら……」という思いでオーテックを訪れてデモカーを試乗し、そのパワーのとりこに。その場でコンバージョンを決意したそうだ。その後もミッション換装などを行い、自分好みの仕様へ。以前はノーマル風を装っていたが、3年前にオールペンをした際、エアロ類を装着した。

現在、R31と大畑さんの付き合いは、かれこれ27年。しかし“思い出のクルマ”として、今後も精いっぱいの愛情を注いでいくことだろう。



SPECIFICATIONS 主要諸元
1986年式 日産 スカイライン 2ドアクーペ オーテック S&Sバージョン ドリフトパッケージ (HR31)
全長×全幅×全高(mm) 4660×1735×1365
ホイールベース(mm)  2615
トレッド前/後(mm)  1465/1455
車両重量(kg)  1490
エンジン型式  VG30DET型
エンジン種類 V型6気筒DOHCターボ
総排気量(cc) 2960
ボア×ストローク(mm) 87.0×83.0
圧縮比 8.5:1
最高出力(ps/rpm) 280/6000
最大トルク(kg-m/rpm) 41.0/2800
変速比 1速2.784/2速1.544/3速1.000/
4速0.694/後退2.275
最終減速比 3.916
ステアリング ラック&ピニオン
サスペンション前 / 後 ストラット/セミトレーリングアーム
ブレーキ前 / 後 ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤ 225/50R16(前後とも)
発売当時価格 300~350万円(ベース車両により異なる)


初出:ハチマルヒーロー 2013年5月号 Vol.021(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1986年式 日産 スカイライン 2ドアクーペ オーテック S&Sバージョン ドリフトパッケージ(全3記事)

関連記事:スカイライン

関連記事:THE限定車

text : Rino Creative/リノクリエイティブ photo : MAKOTO INOUE/井上 誠

RECOMMENDED

RELATED

RANKING