いすゞはブッシュのたわみとサスペンションストロークで制御する「ニシボリックサスペンション」|後輪転舵編 Vol.4|ハチマル・テクノロジー

80年代は自動車テクノロジーが一気に発展を遂げた時代。

       
【ハチマル・テクノロジー:後輪転舵編 Vol.4】

シンプルかつ理にかなった「ニシボリックサスペンション」

 一方、日産一連のHICAS系や後輪にステアリング機構を持つ4WSシステムとは別に、もっとシンプルかつ理にかなった作動原理による後輪操舵方式も開発されていた。それはいすゞが90年にリリースした2台目FFジェミニ(JT191系)に採用した「ニシボリックサスペンション」で、後輪入力(スリップアングル発生時)によるブッシュのたわみとサスペンションストローク(縮み方向)によるトーアウト(旋回初期)/トーイン(旋回中)の動きを作り出し、回頭性と旋回挙動の安定化が図られていた。

ISUZU NISHIBORIC SUSPENSION SYSTEM

 いすゞがジェミニで実践したニシボリックサスペンションは、ブッシュの入力変化とサスペンションのストローク変化を利用したトーイン/トーアウト機構だ。構造がシンプル(通常のサスペンションと同構造)でコストのかからないことが大きな特徴。回頭性と挙動安定の両立が狙いだった。

コーナリング初期には、後輪入力(スリップアングル発生時)によるブッシュのたわみにより、リアはトーアウト状態になる等、解説図など【写真3枚】



初出:ハチマルヒーロー 2013年2月号 Vol.020(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

ハチマル・テクノロジー:後輪転舵編(全4記事)

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text : AKIHIKO OUCHI/大内明彦

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