車高960ミリ! 低く長いフォルムでユーノディエールを駆ける!|ル・マンのために開発された 零ベースのレースマシン 童夢RL81 Vol.2

ワイド&ローが強調されたフロントビュー。コクピットは驚くほど小ぶりだ。大柄なドライバーは運転も乗り降りも苦労した。

3年目のチャレンジに作られた童夢 RL81。シャシーもボディも、24時間レースで勝つための専用設計だった。

 軽量化を徹底するとともにル・マンの長い直線を意識してRL80よりエアロダイナミックスを磨いている。

大きく変わったのは、リアまわりのデザインだ。リアエンドのスポイラーもスッキリと収められた。

全長は4800mmだ。ベースとなった童夢 零よりかなり長い。

アルミ合金製のモノコック、ダブルウイッシュボーンと4リンク式のサスペンションなど、メカニズム部分を設計したのは小野昌朗で、信頼性を重視した手堅い造りだった。


 エンジンはコスワース製のフォードDFVだ。排気量2993ccのV型8気筒DOHC4バルブエンジンをミッドシップに搭載する。

トランスミッションはヒューランド製の5速マニュアルを採用した。ドライバーは童夢のマシンを知り尽くしたC・クラフトとB・エバンスのコンビだ。


 活躍が期待されたが、予選は20番手に沈み、決勝レースもリタイアに終わっている。これ以降、童夢はグループCカーに切り替え、ル・マンに挑戦を続けた。

童夢RL81サイド
サイドから見ると、低く長いことがよく分かる。ユーノディエールの長い直線を意識したロングテールは、ル・マンカーならではの特徴だ。



童夢RL81リア
スパッと切り落とされたリアエンドから延びるスポイラーは迫力満点だ。



童夢RL81のタイヤホイール
タイヤは日本ダンロップ製のレーシングタイヤ。フロントが14インチ、リアが16インチ。ゴールドのメッシュホイールはハヤシレーシング製のレース用3ピースだ。



童夢RL81のエンジン
エンジンは、その当時、F1から耐久レースにまで使われた安定した動力性能を誇るフォードDFVを積む。エンジンの両サイドにはラジエーターが配置された。




童夢RL81のエンジン
コスワース・フォードV型8気筒DOHCエンジンは、耐久性を考慮しながらチューンされ、450ps/8500rpm程度を発生した。



童夢RL81のコックピット
童夢RL81のコクピット。日本製レーシングカーであり、右回りコースのため運転席は右側だ。メーター類は4個で、左から油圧&水温、燃圧、タコ、油温。シフトレバーは右側で、ステアリングには、ON/OFFとプッシュスイッチが設けられている。

81年式 童夢 RL81(DOME RL81)
全長×全幅×全高:4800×1810×960mm
ホイールベース:2600mm
トレッド前/後:1390/1400mm
車両重量:700kg
シャシー:アルミ合金モノコック
ボディ:FRP(一部カーボン)
エンジン型式:コスワース・フォードDFV型
エンジン種類:水冷V型8気筒DOHC 32バルブ
総排気量:2993cc
最高出力:不明
ミッション:ヒューランドTL2-200 5速
ステアリング形式:ラック&ピニオン
サスペンション前:上、下Aアーム・ダブルウイッシュボーン
サスペンション後:上 I アーム、下パラレルアーム・4リンク
ブレーキ前:アウトボード
ブレーキ後:アウトボード
クラッチ形式:ボーグ&ベック
タイヤ前:14インチ(日本ダンロップ)
タイヤ後:16インチ(日本ダンロップ)



掲載:ノスタルジックヒーロー 2011年6月号Vol.145(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

photo:Isao Yatsui/谷井功 text:Hideaki Kataoka/片岡英明 cooperated:DOME

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