ロータリーエンジン搭載量産車の先鋒|読者が選ぶ国産旧車人気ランキング2014 【7位】|1968年式 マツダ コスモスポーツ Vol.1

コスモスポーツはウッドステアリングを装着。その奥には大径丸形のスピードメーター(左)とタコメーター(右)を配置する。タコメーターのイエローゾーンは橙、レッドゾーンは赤。

       
【1968年式 マツダ コスモスポーツ Vol.1】

読者が選ぶ国産旧車人気ランキング 2014 7位

 2ローターのロータリーエンジン(RE)搭載車として、世界で初めて量産されたのがコスモスポーツだった。東洋工業(マツダ)がREを実用化するまでのストーリーは、過去に多くのメディアで取り上げているのでここでは詳述しないが、ローターハウジング内に発生する「チャターマーク」と呼ばれる回転方向のキズを解消するために、マツダの技術者たちが日夜悪戦苦闘した話は語り草となっている。

 1964年10月に開催された第11回東京モーターショーの会場で、コスモスポーツが初めてお披露目された。まさに車名を具現化したような宇宙船を思わせるフォルムに、来場者の目は釘付けとなる。REという新開発のパワープラントへの興味も加わり、夢のスポーツカー、コスモスポーツはモーターショーの話題の中心となった。

 しかし市販に向けて、マツダは慎重を期したスケジュールで臨んだ。開発時の弱点となっていたエンジンの耐久性については、社内でのテストでは克服できていたが、それを証明するために60台の試作車による実走テストを行うことにした。66年に全国の大手マツダ販売会社に60台を配置。実際に社員や顧客に試乗してもらい、RE搭載車のフィーリングを体感してもらった。マツダとしては、千差万別な運転スタイルの人々に乗ってもらうことで、開発スタッフだけでは発見できなかった不具合をあぶり出し、さらなる品質向上に結びつけたかったのだ。

 コスモスポーツの前期型(1967年5月〜1968年7月)と後期型(1968年7月以降)の外観上の比較をしてみる。

コスモスポーツのフォルムは唯一無二のアイコンとなっているが、取材車両の前期型と後期型では、いろいろな部分に違いがある。


サイドビューの写真からは、ホイールベースの変更がよく分かる。ドア後端とリアホイールアーチの間、クオーターパネルの部分の長さが明らかに違う。



フロントまわりでは、バンパー下のアンダーカバーの形状が異なる。ちなみにラジエーターの冷却性向上を狙って、前期型ながら後期型のアンダーカバーを装着している個体もある。



バンパー両端から前方に延びる部分が前期型のほうが長い。また後期型では、前後バンパーの左右に、ゴム製オーバーライダーが装着されている。
さらに前期型のナンバー裏にはスペアタイアの張り出しは見られないが、後期型では円弧の形の張り出しがある。

Vol.2に続く

1968年式 マツダ コスモスポーツ(L10A)主要諸元
※取材車両の初度登録は1969年。
●販売期間 1967年5月~1972年

●全長 4140mm
●全幅 1595mm
●全高 1165mm
●ホイールベース 2200mm
●トレッド前/後 1250/1240mm
●最低地上高 125mm
●室内長 860mm
●室内幅 1300mm
●室内高 990mm
●車両重量 940kg
●乗車定員 2名
●0→400m加速 16.3秒
●最高速度 185km/h
●登坂能力sinθ 0.524
●最小回転半径 4.9m
●エンジン型式 10A型
●エンジン種類 水冷2ローター・ロータリー
●総排気量 491cc×2
●圧縮比 9.4:1
●最高出力 110ps/7000rpm
●最大トルク 13.3kg-m/3500rpm
●変速比 1速3.379/2速2.077/3速1.390/4速1.000/後退3.389
●最終減速比 4.111
●燃料タンク容量 57L
●ステアリング形式 ラック&ピニオン
●サスペンション前/後 ウイッシュボーンボールジョイント・コイル/ド・ディオンアクスル・リーフ
●ブレーキ前/後 ディスク/リーディング・トレーリング
●タイヤ前後とも 6.45-14-4PR
●発売当時価格 148万円

初出:ノスタルジックヒーロー 2014年4月号 Vol.162(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

前期型L10Aにはスペアタイアの張り出しが見られないリアバンパー下など【写真6枚】

1968年式 マツダ コスモスポーツ(全2記事)

2014 読者が選ぶ国産旧車人気ランキング

photo : ISAO YATSUI/谷井 功

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