スポーツ志向が強かったクーペ、よりスペシャリティー的な味付けのLB|読者が選ぶ国産旧車人気ランキング2014【9位】|1976年式 トヨタ セリカリフトバック1600 ST Vol.2

もともとはシルバーだったが板金時にアイボリーに全塗装。グリルはGT用で、中央にオーナー手製の「TOYOTA」エンブレムが付く。

       
【1976年式 トヨタ セリカリフトバック1600 ST Vol.2】

読者が選ぶ国産旧車人気ランキング 2014 9位

 斬新なデザインや画期的な販売形態を取り入れたセリカであったが、1973年4月には新たなボディバリエーションを追加した。それが、リフトバック(以下:LB)だ。

 こちらもコンセプトカーがベースとなっており、71年の東京モーターショーで披露された「SV‐1」が原形。クーペよりもフロントオーバーハングを70mm延長し、リアオーバーハングを20mm短縮。そして全長は50mm延長され、ロングノーズ&ショートデッキのファストバッククーペのシルエットを実現。加えて、全幅を20mmワイド化して全高を低くすることで、より安定感のあるフォルムを手に入れた。そして、スポーツ志向が強かったクーペに対し、LBはよりスペシャリティー的な味付けが施されていたのである。

 なお、LB追加後にクーペのマスクをLBと同デザインに変更。さらに排ガス規制へ対応するためにエンジンルームを拡大し、これに伴いホイールベースを延長。さらに、前後の意匠もリファインされた。こうしてコンセプトカーから誕生したスペシャリティーのパイオニアは熟成の域に達したのだ。

GTOからLBに路線変更きっかけはスタイリング!

木目調のクラスターパネル、ステアリング、シフトノブを採用したSWパックなど【写真9枚】

 

OWNER’S VOICE/漆間淳郎さん

 もともとはギャランGTO MRを探していたという漆間淳郎さん。しかしコンディションの良い個体がなく諦めかけていたところ、偶然このLBに遭遇。そのスタイリングと状態の良さが気に入り、3年半ほど前に入手したそうだ。ただし、当初は1600STがどのようなグレードか分からなくて、調べてみると2T-U型エンジン搭載車だと判明。しかし現在では「スタイリングを重視したので、ツインカムエンジンでなくてもいいんです!」と目を細める。

 なお、ボディはサビが出ていたので一度板金修理はしたものの、機関系の大きなトラブルは一切なし。近々劣化したブッシュ類を交換し、その後は現状維持に努めるという。オーナーとLBのカーライフはまだまだ続きそうだ。

1976年式 トヨタ セリカリフトバック1600 ST(TA35)主要諸元
●販売期間 1973年4月~1977年7月
●全長 4240mm
●全幅 1620mm
●全高 1295mm
●ホイールベース 2495mm
●トレッド前/後 1335/1295mm
●最低地上高 160mm
●車両重量 990kg
●乗車定員 5名
●最高速度 160km/h
●登坂能力 tanθ0.69
●最小回転半径 5.0m
●エンジン型式 2T-U型
●エンジン種類 水冷直列4気筒OHV
●総排気量 1588cc
●ボア×ストローク 85.0×70.0mm
●圧縮比 9.0:1
●最高出力 90ps/6000rpm
●最大トルク 13.0kg-m/3800rpm
●変速比 1速/3.587/2速2.022/3速1.384/4速1.000/後退0.861
●最終減速比 3.727
●燃料タンク容量 58L
●ステアリング形式 リサーキュレイティングボール式
●サスペンション前/後 ストラット式/4リンク式
●ブレーキ前/後 ディスク式/リーディングトレーリング式
●タイヤ前後とも 6.45-13
●発売当時価格 120万円

初出:ノスタルジックヒーロー 2014年4月号 Vol.162(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1976年式 トヨタ セリカリフトバック1600 ST (全2記事)

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2014 読者が選ぶ国産旧車人気ランキング

text : Rino Creative/リノクリエイティブ photo : MOTOSUKE FUJII(SALUTE)/藤井元輔(サルーテ)

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