1983-1986|240RS、FJ20型とはまったくの別物であるFJ24型エンジン|日産 240RS(モンテカルロ仕様 復元車)|ラリーの日産 Vol.4

日産 240RS(モンテカルロ仕様 復元車)

       
【ラリーの日産 Vol.4|日産 240RS(モンテカルロ仕様 復元車)】

 ところでPA10バイオレットが快進撃を始めた70年代終盤のWRCシリーズは、グループ4車両の改造競争が激化の一途をたどり、サーキットレースのプロトタイプカー、ツーリングカーと併せて車両区分の規定見直しが検討されるようになっていた。

 これが1982年に施行されるグループA~D規定で、ラリーカーはグラベル路のプロトタイプカーとも呼べるようなグループB規定が適用されることになり、ハイスペックなモデルが次々と送り出される時代を迎えていた。

 S110型シルビアをベースにする240RS(1983年)は、こうしたグループB規定に合致させるために開発されたFRパッケージの競技ベース車両である。ラリーカーとしての基本コンセプトは、グループ4バイオレットの延長線上にあり、より高出力/高トルク型の自然吸気エンジンを搭載するところに大きな特徴があった。

 このエンジンがFJ24型で、その型番や外観からはFJ20型のスケールアップ版のようにも見えるが、中身はすべて見直しが図られた新規設計のエンジンである。

 このクルマが不運だったのは、他のグループBカーがターボ、ミッドシップ、4WDと一足飛びにその形態を進化させたことで、FRラリーカーとして非常に優れた性能のモデルとして仕上がっていたにもかかわらず、相対的な戦闘力比較で不利な状況に置かれてしまったことだろう。

外観はFJ20型とよく似ているが中身はまったくの別物であるFJ24型エンジンなど【写真6枚】



 モータースポーツが歓迎されない時代であったにもかかわらず、巨額の予算を費やすことなく、どちらかいえば技術と知恵で世界の頂点を極めたことに大きな価値があると言える。それがLZ系エンジンを積むバイオレットであり、そのノウハウを昇華させたモデルが240RSということができるだろう。

初出:ノスタルジックヒーロー 2013年12月号 Vol.160(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

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text : AKIHIKO OUCHI/大内明彦 photo : MASAMI SATO/佐藤正巳

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