1978-1982|サファリラリーで4年連続総合優勝。240Zを凌駕する金字塔 |日産 バイオレット PA10(1982年サファリ優勝車)|ラリーの日産 Vol.3

日産 バイオレット PA10(1982年サファリ優勝車)

       
【ラリーの日産 Vol.3|日産 バイオレット PA10(1982年サファリ優勝車)】

 しかし、この710バイオレット、サザンクロス・ラリー投入時(1977年10月)には、すでに生産完了モデルとなっていたのである。

同年5月に2世代目バイオレットが登場していたのだ。PA10型と車両型式が新しくなり、リアサスペンションがリジッド・コイルリンク式に変更されていた。独立懸架式を身上としてきた日産のシャシー技術体系にあっては異端のメカニズムにも見えたが、生産性、コスト、性能安定度など総合的な観点から、このクラス(ブルーバード系の下位モデル)には最適と判断されていた。

 リジッドアクスル方式は、バネ下重量の増加、左右で独立した接地が確保できない、路面追従性の悪さなどデメリットも指摘されていたが、対地キャンバーが変化しないなど競技車両としてみた場合、都合のよい面もあった。

 1978年シーズンからラリーカーとして実戦投入されたが、サファリは公式にワークスとして参戦を再開した1979年から1982年まで4年連続で総合優勝。サファリ3大会で2勝した240Zの戦績は紛れもなく金字塔だったが、PA10バイオレットはこの記録を楽々と凌駕していたのである。時代が時代だっただけに、広く世の中にPRできなかったことが惜しまれる。

日産トリコロールではなくスポンサーのマルボロカラーに時代の変化がうかがえる1982年サファリ優勝車のフォルムなど【写真6枚】

Vol.4に続く



初出:ノスタルジックヒーロー 2013年12月号 Vol.160(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

ラリーの日産 (全4記事)

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text : AKIHIKO OUCHI/大内明彦 photo : MASAMI SATO/佐藤正巳

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