1977|サザンクロス・ラリーで圧勝した日産|日産 バイオレット 710(1977年サザンクロス・ラリー優勝車)|ラリーの日産 Vol.2

日産 バイオレット 710(1977年サザンクロス・ラリー優勝車)

       
【ラリーの日産 Vol.2|日産 バイオレット 710(1977年サザンクロス・ラリー優勝車)】

 さて、再び日産ワークスの姿が見え隠れするようになった1977年のサザンクロス・ラリーだが、日産はここで圧勝している。サザンクロスといえば、三菱がA73ランサーで優勝を飾り「サザンクロスの三菱」という印象を日本国内にイメージ付けたラリーである。

 実は、これが少々おもしろいところなのだが、日産が成功した「サファリの日産」というイメージ戦略を横目で見てきた三菱は、「ではわれわれも」とその活動対象として選んだラリーがサザンクロスだったのである。
 そのサザンクロス・ラリーに、日産は710バイオレットを持ち込み、あっさりと勝ってしまったわけである。しかも投入した車両は、LZ型4バルブDOHCを積むグループ4仕様、言い換えればワークスでなければ造れない車両だったのである。

 このLZ型エンジン、もともとはトヨタ2T‐G型エンジン勢に対抗するためサニー・エクセレント用に開発されたものだった。しかし、初期の仕様には不備があり、WRC(世界ラリー選手権)用に再設計を施している。基本がL系のブロックに4バルブDOHCヘッドを載せる手法を採っていたため汎用性が高い。ターボを装着した仕様(LZ20B型)がシルエット・フォーミュラや初期のグループCカーでも使われたことは広く知られている。

 一方、選択された車種はバイオレットと、一見新車種が抜擢されたようにも見えたが、L系4気筒エンジンと前ストラット/後セミトレーリングアームのサスペンション構成は510ブルーバードとまったく同じで、710という車両型式自体も実質ブルーバードであることを物語っていた。

日産ワークスを象徴するトリコロールで塗られた77年サザンクロス・ラリー優勝の710バイオレットなど【写真6枚】

Vol.3、Vol.4に続く



初出:ノスタルジックヒーロー 2013年12月号 Vol.160(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

ラリーの日産 (全4記事)

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text : AKIHIKO OUCHI/大内明彦 photo : MASAMI SATO/佐藤正巳

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