優美さの奥に無敵の力を秘めた1台。バブルで最も華やかに踊った自動車メーカーはマツダだったかもしれない|1990年式 ユーノス コスモ 20B Vol.3|バブルでGO!!

これほどまで贅沢で大柄、ハイパワーなクルマの直接的なライバルは、日本に存在しない。

【 1990年式 ユーノス コスモ 20B Vol.3】

 ユーノスコスモの絶対的なシンボルとなるのが、ロータリーエンジン。2ローターの13B型エンジンは従来の改良版だが、やはり注目は新開発となる3ローターの20B型エンジン。

 通常のレシプロエンジンならV12並みというスムーズさを誇る20B型エンジンは、異次元のドライブフィールを生み出した。さらに、両エンジンともに世界初のシーケンシャルツインターボを搭載。13B型エンジンで230ps、20B型エンジンで280psの最高出力は、ライバルと目されるソアラを凌駕した。

 とはいえ、これほどまで贅沢で大柄、ハイパワーなクルマの直接的なライバルは、日本に存在しない。世界に目を向ければジャガーXJSにも匹敵する超豪華モデルだった。

 バブルが生んだエレガントな孤高のスペシャリティークーペは、残念ながら1996年に幕を下ろした。

広島の地から出現したバブル時代の究極の一台





 バブルで最も華やかに踊った自動車メーカーはマツダだったかもしれない。

 5つもの販売チャネルから、多種多様な車種を次々にリリースし、広大無辺なクルマの桃源郷を現出せしめんとしたバブル期のマツダは、決して大げさではなく、実にヒロイックな存在だったといえる。

 ユーノス コスモは、そんなバブル期のマツダならではのクルマである。3ローターのロータリーという他を圧するパワープラントを持ちながら、スリークな印象のエクステリアで上品なイメージ。シーマやセルシオのように、エンジンの最高出力やグレードを、外観で誇示しようとはしていないのだ。

 優美さの奥に無敵の力を秘めている。これほど贅沢なクルマは滅多にないが、ユーノスコスモはヒットしなかった。それがバブルという時代の、ひとつの限界だったのだろう。

 トヨタも日産も成し得ていないル・マン24時間レース総合優勝の偉業とともに、バブル期のマツダの果敢な挑戦は忘れがたい。

フロントミッドに搭載された量産車初の3ローターエンジンなど【写真5枚】

1990年式 ユーノス コスモ 20B タイプS(JCESE)主要諸元
全長×全幅×全高(mm) 4815×1795×1305
ホイールベース(mm) 2750
トレッド前/後(mm) 1520/1510
車両重量(kg) 1590
エンジン型式 20B-REW型
エンジン種類 水冷直列3ローターツインターボ
総排気量(cc) 654×3
圧縮比 9.0:1
最高出力(ps/rpm) 280/6500
最大トルク(kg-m/rpm) 41.0/3000
変速比 1速2.784/2速1.544/3速1.000/4速0.694/後退2.275
最終減速比 3.909
燃料タンク(L) 85
ステアリング ラック&ピニオン式
サスペンション前/後 ダブルウイッシュボーン/マルチリンク
ブレーキ ベンチレーテッドディスク(前後とも)
タイヤ 225/50R16(前後とも)
発売当時価格 420.0万円

初出:ハチマルヒーロー 2012年 11月号 vol.19(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1990年式 ユーノス コスモ 20B(全3記事)

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photo : MAKOTO INOUE/井上 誠 text : Rino Creative/リノクリエイティブ

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