スバルの技術が惜しみなく注がれたSVXが目指したのは、本物のグランドツアラー|1995年式 スバル アルシオーネSVX S4 Vol.2|バブルでGO

友人が趣味で作ったチョロQを、生誕20周年記念台座に取り付けたお気に入りグッズ。

       
【 1995年式 スバル アルシオーネSVX S4 Vol.2】

 SVXが目指したのは、本物の〝グランドツアラー〟。イタリアの工業デザイン界の巨匠、ジョルジエット・ジウジアーロの手による美しいスタイルが目を引くが、中身も先鋭的だ。パワートレーンは水平対向エンジン+4WDというスバルのコア技術。

 だが、4WDシステムは従来の安定性重視のFF寄りから、操縦性を高めるためにFRの味を持たせたものに挑戦。そこで駆動力配分を後輪偏重の前36%、後64%をベースに可変する「VTD‐4WD」を新開発した。後にこのシステムは主力車種のレガシィなどに投入されている。

 さらに、VLには電子制御式4WSも搭載することで、安定感と操縦性の高さを両立。500マイルを一気に走破できる快適性も手にした。オーナーの小山圭さんも「長距離でも本当に疲れない。まだまだ走っていたいと思える心地良さがあるんです」と語っている。

 このほかにも、SVXは話題に事欠かない。とても窮地に追い込まれていたメーカーが作ったクルマとは思えないほどに。「隅々まで本当にコストを掛けて作ったクルマだということが分かります」と、小山さんも話す。

OWNER’S VOICE

オーナーと関係者で祝った愛に満ちた20周年記念/小山 圭さん



 小山圭さんがSVXにほれ込んだのは、91年のデビュー時。「“遠くへ、美しく”というあのCMが印象的で。その時からのあこがれでしたが、維持費などの事情があってあきらめていました。それが6年前の転勤で駐車場2台付きの物件に引っ越すことができ、15年間の積年の思いが爆発って感じですね」と購入経緯を話す。手に入れた個体は最終型の特別仕様車S4。走行距離5.6万kmの物件で3年保証も付いていた。以来、6年間、大きなトラブルもなくSVXライフを楽しんでいる。

 また、小山さんたちは昨年、誕生20周年を記念して全国ミーティングを開催。その模様はこちら(http://www47.atwiki.jp/svx20aniv/)。

 その時に制作された記念誌には、多くの関係者が今まで語らなかった貴重な話をつづり、日本はもとより海外のSVXオーナーからも寄せられた写真が掲載されていた。そのどれもが「SVXが本当に好きなんだな」と感じさせる内容で、そこまで深く思いを寄せられるSVXがうらやましく思えるほどだった。

Vol.3に続く

搭載エンジンは3.3Lの水平対向6気筒など【写真4枚】

1995年式 スバル アルシオーネSVX S4(CXW)主要諸元
全長×全幅×全高(mm) 4370×1800×1345
ホイールベース(mm) 2615CXW)
全長×全幅×全高(mm) 4625×1770×1300
ホイールベース(mm) 2610
トレッド前/後(mm) 1500/1480
車両重量(kg) 1590
エンジン型式 EG33型
エンジン種類 水冷水平対向6気筒DOHC
総排気量(cc) 3318
ボア×ストローク(mm) 96.9×75.0
圧縮比 10.0:1
最高出力(ps/rpm) 240/6000
最大トルク(kg-m/rpm) 31.5/4800
変速比 1速2.785/2速1.545/3速1.000/4速0.694/後退2.272
最終減速比 3.700
ステアリング ラック&ピニオン式
サスペンション前後 ストラット(前後とも)
ブレーキ前後 ベンチレーテッドディスク(前後とも)
タイヤ前後 225/50R16(前後とも)
発売当時価格 316.6万円

初出:ハチマルヒーロー 2012年 11月号 vol.19(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1995年式 スバル アルシオーネSVX S4(全3記事)

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photo : MOTOSUKE FUJII/藤井 元輔 text : Rino Creative/リノクリエイティブ

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