発売当時の価格1780万円! 手間と時間のかかるハンドメイド|1991年式 オーテック ザガート ステルビオ Vol.3|バブルでGO

リアオーバーハングをスパッと切り詰めたデザインは、「コーダ・トロンカ」と呼ばれるザガート得意の手法。

       
【 1991年式 オーテック ザガート ステルビオ Vol.3】

 オーテック・ザガート・ステルビオ(以下:ステルビオ)、そのインテリアも国産自動車メーカーでは成し得ることができないもの。なぜなら、生産効率重視の時代に、手間と時間のかかるハンドメイドで仕上げられたのだから。しかしその恩恵は大きく、ハンドメイドならではの“味”や“温かみ”を存分に感じとることができる。さらに、使われる素材は一流の本革や木目パネルで、さすがと唸らせるクオリティーに仕上げられた。



 一方、オーテックジャパンが手がけたエンジンもVG30DET型とあなどるなかれ、ファインチューンによりパワーアップし、サスペンションも8段調整式ダンパーを採用するなど、高級ラグジュアリークーペに相応しいメカニズムに昇華しているのである。

 好景気ゆえに実現したこの夢のコラボだが、200台限定といわれながらも実際には100台強しか販売されなかった。しかし、ステルビオの輝きは、今もなお色あせていない。

OWNER’S VOICE/大畑 茂さん
大好きなステルビオとイタリア旅行をするのが夢



「『ミラノの少年と茅ヶ崎の少年の夢』というキャッチコピーに心をつかまれてしまいました」と話すオーナーの大畑茂さん。ステルビオはデビュー当時から気になっていたが、1780万円という価格から手に入れることができず、以後あこがれ続けてきたという。そして、ある程度の年月が経って経済的にも余裕ができ、約3年前に個人売買で手に入れることができたそうだ。

 念願かなって入手したステルビオは、全体のコンディションこそ悪くはなかったものの、内装の傷みが激しかったとか。そこで、これまで内装を中心に手を加えてきたのだが、「とにかく代替品がないのがネックですね」と大畑さん。それゆえに、「今後も現状を維持していくことが最大の目標」と話してくれた。

 大畑さんが思い描く夢は「このステルビオを、イタリアのステルビオ峠に持っていって走らせてあげること」。その夢を実現できるように、陰ながら応援していきたい。

各部にウォールナットがあしらわれ、職人たちのハンドメイドで仕上げられたインパネなど【写真7枚】


1991年式 オーテック ザガート ステルビオ(AZ1)
SPECIFICATIONS
全長×全幅×全高(mm) 4370×1800×1345
ホイールベース(mm) 2615
トレッド前/後(mm) 1465/1455
車両重量(kg) 1560
エンジン型式 VG30DET型
エンジン種類 水冷V型6気筒DOHCターボ
総排気量(cc) 2960
ボア×ストローク(mm) 87.0×83.0
圧縮比 8.5:1
最高出力(ps/rpm) 280/6000
最大トルク(kg-m/rpm) 41.0/2800
変速比 1速2.784/2速1.544/3速1.000/4速0.694/後退2.275
最終減速比 3.916
ステアリング ラック&ピニオン式
サスペンション前/後 ストラット/セミトレーリングアーム
ブレーキ ベンチレーテッドディスク(前後とも)
タイヤ 225/50R16(前後とも)
発売当時価格 1780万円

初出:ハチマルヒーロー 2012年 11月号 vol.19(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1991年式 オーテック ザガート ステルビオ(全3記事)

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photo : SATOSHI KAMIMURA/神村 聖 text : Rino Creative/リノクリエイティブ

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