「今日、あのクルマを見ちゃったよ!」と興奮してしまうモデル|1991年式 オーテック ザガート ステルビオ Vol.2|バブルでGO

ボディ一体となったサイドミラーは、あまりにも大胆なアイデア。

       
【 1991年式 オーテック ザガート ステルビオ Vol.2】

オーテックジャパンは、設立当初から日産車をベースとしたハンドメイドの高級車を販売するプロジェクトを進めていた。一方のザガートは経営不振にあり、提携先を模索していたのだ。そこで当時のザガートジャパンが仲介役となり、プロジェクトが始動したというわけだ。

 ここで話をオーテック・ザガート・ステルビオ(以下:ステルビオ)に戻そう。最大の見どころは、何といってもその大胆なエクステリアデザイン。独創的なフロントマスクや切り詰められたリアビュー、そしてザガートの伝統的な手法であるダブルバブルのルーフ形状など、注目点は多岐にわたる。しかし、その中でもボディ一体となったサイドミラーは、あまりにも大胆なアイデア。これは櫻井さんが強く要望したものであり、これがその後のステルビオのアイデンティティーにもなっている。

まずは実物を見てほしい日伊ハーフの美人さん





 バブル期の東京都心部の道路というのは、ポルシェやフェラーリのような超高級スーパーカーでも特に珍しく感じないような、うれしくもあり異常でもある状況だった。

 そんな中でも、「今日、あのクルマを見ちゃったよ!」と興奮できるような、激烈に希少なモデルがいくつかあった。ザガート・ステルビオは、その代表例だったといえよう。

 写真で見た印象で否定的なコメントをもらいがちなザガート・ステルビオだが、生で見ると結構カッコイイと思う。少なくともバブル当時、街で見かけたときはそう感じたと記憶している。

 初恋の相手と同窓会で十数年ぶりに会うような、甘く、切ない思い。そんな気持ちにさせるクルマは、そう多くないだろう。バブルは単に豪奢だったというだけではなく、どこか隠微な愉悦までも与えてくれた時代なのだ。

Vol.3に続く

中央に「AUTECH ZAGATO」の刻印が入る型式プレートなど【写真4枚】


1991年式 オーテック ザガート ステルビオ(AZ1)
SPECIFICATIONS
全長×全幅×全高(mm) 4370×1800×1345
ホイールベース(mm) 2615
トレッド前/後(mm) 1465/1455
車両重量(kg) 1560
エンジン型式 VG30DET型
エンジン種類 水冷V型6気筒DOHCターボ
総排気量(cc) 2960
ボア×ストローク(mm) 87.0×83.0
圧縮比 8.5:1
最高出力(ps/rpm) 280/6000
最大トルク(kg-m/rpm) 41.0/2800
変速比 1速2.784/2速1.544/3速1.000/4速0.694/後退2.275
最終減速比 3.916
ステアリング ラック&ピニオン式
サスペンション前/後 ストラット/セミトレーリングアーム
ブレーキ ベンチレーテッドディスク(前後とも)
タイヤ 225/50R16(前後とも)
発売当時価格 1780万円

初出:ハチマルヒーロー 2012年 11月号 vol.19(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1991年式 オーテック ザガート ステルビオ(全3記事)

バブルでGO!! 記事一覧

オーテック 記事一覧

photo : SATOSHI KAMIMURA/神村 聖 text : Rino Creative/リノクリエイティブ

RECOMMENDED

RELATED

RANKING